
見送りしてくれたスサーナとロゴリゴ
7/23
昨日の夜は遅くまでスサーナと話をして寝た。
スサーナは私の母より年上だが、ときに同年代の友達のようであり、ときにお母さんのようであった。
彼女の経済状況がなんとなく分かっていただけに、スーパーの買い出しやガソリンを入れる時に、何度か私が支払おうとしたが、ついに最後まで払わせてくれなかった。
家の外へ出ると、ロドリゴが見送りに来てくれていた。
『仕事にはいつも遅刻するくせに』とスサーナが笑った。
今日は世界最南端の町、ウスアイアへバス移動する。スサーナとロドリゴは私がバスに乗車してからもずっと手を降り続けてくれた。
TAQSAというバスで、リオ・ガシェゴスから577kmのウスアイアへ向かう。強風でバスが左右に揺れながら、昨日通った道を再び走った。
見渡す限り黄金色に光る草が一面に広がるパンパが続いた。
携帯が鳴り、1時間の時差があることを知らせた。眠りにつきかけた時、今度はBahía Azulという海岸に到着し、ここでもバスを降りて船に乗り込んだ。
海はエメラルドグリーンに近い色で、水ようかんみたいにテカテカしてうねっていた。
その後も、結局チリの出国審査とアルゼンチンの入国審査で、計2回停車した。最後のイミグレーションを過ぎた辺りから、雪が見え始めた。
水たまりはスケートリンクのように凍り、ダチョウが平原を駆け抜けた。
バスは予定通り12時間走って、夜の9時にウスアイアに到着した。
バスを降りると全く寒さを感じなかった。雪が積もっているとあまり寒くはないが、風がないせいかリオ・ガシェゴより温かい。
白い絨毯がオレンジの街頭に照らされて町は明るかった。
踏みしめた雪は水分が多く、すぐに解ける。初めて触る種類の雪の感触だった。
ERIKO