7/11
予定より1日早くブエノスアイレスへ戻って来ている。
理由は2つ。予定していたもう一つの訪問先であるSanta Terecitaは海沿いにあり気温が低く、家に暖房器具がないため、次回へ持ち越すことになったこと。
2つめは、奥さんのアリが私へ嫉妬してしまい、気分を害してしまったことである。
アルゼンチンとは言わず、どこでも起こりうることなのだが、原因は旦那のギシェルモさんが私と楽しそうに話をしているのが気に入らなかったようだ。
結局帰る2日前の日は、彼女は部屋からほとんど出て来なかった。
アリさんは普段はおとなしく、夫の身の回りの世話を全部する、アルゼンチン人では珍しいタイプの献身的な女性である。
一方ギシェルモは日本の血を引きながらも、典型的なアルゼンチン人という正反対の性格を持った2である。
アルゼンチン人の男性は、Piropos(女好き)だと良く言われる。女性にしてみれば、両手を使わずに生活できそうなほど紳士的だ。
例えば昨日八百屋に買い物へ行った時も、八百屋で働く男性に『なんて美しいんだ、名前はなんていうの?住まいは?この野菜で君が作ったものが食べたい』などと聞かれ、帰り際にはお店の扉まで開けてくれる始末であった。これは特別なことでなく、女性に対しての礼儀に近いように感じる。
よくアルゼンチンはイタリア移民多く、彼らの血を引いているからだと言われることもあるが、私がイタリアという国に住んでいた時は、一度もバスの席を譲られることはなかったし、道で声をかけられたこともなかった。
アルゼンチン人特有の習慣であると思う。
ブエノスへ戻る前日、私は彼女と話をして、自分になにか非があったなら謝りたいと言った。
彼女は私ではなく、夫に腹を立てていて、空気を悪くしてしまってごめんなさいと謝った。
2時間ローズマリーと一緒に煮込み、外にあるアサード(BBQ)台で焼いた。家中がアルマジロ独特の肉々しい匂で充満した。
生まれて始めて食べたアルマジロは、チリで食べたガチョウの肉によく似ていて、脂身が多く、皮に弾力があり分厚かった。
私の座ったテーブルの位置はちょうどアルマジロの頭が向いていて、舌を出してひっくり返っている姿が視界に入り込み、完食することは出来なかった。
25 de Mayoでは、人間味溢れる波乱万丈な滞在となった。
アリさんとは家を出る前には以前と同じような良い関係に戻った。
人間がいるところには必ずドラマがある。
嫌な思いをすることも、良い思いをすることも両方ある。
でも、大変であればあるほどそこに大切な学びがある。
これは何を学ぶために起きているのか。そう考えることが自分の今後の生き方を大きく変えていくものになると私は思っている。
この小さな町に来れて良かった。彼らの生き方を見ることが出来て良かった。心からそう思う。
ERIKO