一昨日はティワナク遺跡を見て来た。家からバスを2回乗り継いで1時間半ほどで着いた。ティワナク文明が生まれた歴史は紀元前まで遡る。標高4000mという厳しい自然環境の中で開化した文明である。
私がティワナク文明の存在を知ったのは、去年の9月頃のことだった。
旅の準備を始めたばかりで、ラテンアメリカの文化人類学にも興味を持ち始めたのもその頃だった。知りたいことはたくさんあるのに、どうやって勉強して良いのかさっぱり分からない。本屋で参考書を買うのは諦めて、勉強会をやっているところを探してみたが、なかなか見つからなかった。ネットで調べていると、ある大学の教授の論文を見つけた。読んでみるととても読みやすく、興味深いものだった。
後日、その教授が授業をしている大学へ講義を聞きに出かけた。
私が大学という場所へ足を踏み入れるのは初めてのことで、テレビで見る限り、大勢の人達が段々畑のような机の配置で講義を受けているイメージだった。
実際クラスへ入ってみると、生徒はたったの2人。さっそく教授に目をつけられてしまった。
『きみはどこの生徒?』
なんと答えてよいのか分からず、『一般です』と答えた。
教授は声を裏返して『いっぱん?』と繰り返した。
講義時間が過ぎていたので教授は私を追い出すことなく授業を始めた。
授業は大変興味深いもので、主にアンデス文明、ボリビアで栄えた文明についてを教わった。
授業が終わったあと、教授にここへ来た経緯を話した。
すると、
『毎週来るか、もう来ないかのどちらかにしてくれ』
と言ってくれた。
それから私は春休みまでの4ヶ月間、毎週授業に参加した。
目もまともに合わせてくれなかった教授が、最後の授業で私に初めて質問をしてきてくれたのはとても嬉しかった。
私がボリビアの文明が好きになったとても素敵な話がある。
ティワナク文明にある十字架は、3つの光から出来ている。
1つは太陽、2つ目は星、最後の3つ目は雨粒である。
私にとって雨粒を光と見たこの文明の人達の感性は、とても信頼におけるものである。
想像を超えるような土地に文明を築いたティワナクの人達。
ERIKO