絵梨花です、建設主体はウィカなどインドネシア企業と、中国 中鉄の子会社などから成る企業連合のインドネシア中国高速鉄道。
プロジェクト費用の25%を同社が負担し、残り75%を中国が融資する計画だが、本来15年11月に結ぶはずだった融資契約をいまだに結べていない。
ウィカのビンタン社長は自己資金で工事を進めていると明かす。
中国側は融資条件として建設地をすべて確保するよう求めたが、1月末時点で確保できたのは全体の85%にとどまる。
そこにはインドネシアの土地収用を阻む3つの壁が浮かび上がる。
第1の壁は急激な地価上昇だ。
経済発展に伴い、ジャカルタ郊外の工業用地の価格はここ数年で急騰している。
高速鉄道の駅建設が予定される西ジャワ州カラワンも最近は住宅や商業施設の建設計画が相次ぎ浮上。
地価が5年前の4倍 になったとの調査もある。
第2の壁は民主化に伴う意見調整の難しさ。
インドネシアでは開発独裁と呼ばれたスハルト政権が強権的にインフラ開発を進めたが、1998年の政権崩壊後、地方自治が定着。
中央政府の独断で開発を進めにくくなり、皮肉にもインフラ計画の遅延が増えた。
実際、ハリム駅の建設予定地は軍民共用のハリム・プルダナクスマ空港に隣接し、空軍が安全保障を理由に駅建設に難色を示す。
土地を所有・利用する住民の権利意識も拡大。
バンドン側の終点近くでは、国鉄所有地に住む住民の立ち退き交渉が長期化している。
最後にたちはだかるのが政治の壁だ。
ジョコ氏はジャカルタ州知事時代に露天商の移転問題で業者と話し合い、合意を取り付けた実績を持つ。
高速 鉄道の土地収用にも自信を持っていたとみられ、昨年12月には調停役として現地視察を行うとの噂も浮上した。