私が小学5年生の時にたまたま独りで下校していたら、「リカちゃんのお家どこ？」と突然知らない男子高校生が私に近づき口を塞がれ身体を強く触られ抱えられ暗がりの方に連れて行かれそうになりました。
私は必死で抵抗しながら担任の先生が言った言葉を思い出したりしました。
「変な人に口を塞がれたら噛みついて逃げなさい」
でもとても大きい手を私は噛みつくどころか振りほどく事も声を出す事も出来ません。私はこの人に殺されると思いました。
小さかった私は本当に殺されるんだと思ったんです。
何故か離された手から逃げてその男を睨みました。
男は目を見開いて私を見ていました。
距離は10メートルくらい。また捕まるかも知れない。
私は怖くて叫んで助けを呼べませんでした。
「あなたを絶対許さない」
呪いをかけ私は走って逃げました。
うちは母子家庭で母はいつも仕事で夜に帰ってきました。なのにその日は何故か母が家にいてくれて私を迎えてくれました。本当に本当にいてくれて良かった。
怖かったよと泣き付ける相手がいて本当に良かった。母も一緒に泣いてくれました。
母は学校に連絡して、担任と相談して警察にも連絡しました。その日から母は犯人を探すと言い私を車に乗せて近所を探したりしました。
犯人はすぐに見つかりました。とても近所に住んでいて住所も名前もわかりました。そして警察にも伝えました。
でも痴漢は現行犯じゃないと逮捕出来ないらしく結局何も出来ませんでした。
近所の人に話を聞くとこの辺では１番頭の良い学校に通い成績優秀、ご両親も立派な人で「結婚するなら彼みたいな人がいいわよね」と言われました。
あれから20年以上が経ち忘れていた闇記憶。
犯人（44）はエリートコースを順調に歩み熊本県教育庁人事課主任までなり、奥さんと中学生の息子と幸せに暮らし、二十歳の女性を猥褻目的で無理やり車に乗せて拉致しようとした疑いで現行犯逮捕されました。
それまでにも沢山の犯罪を犯したことでしょう。私以外の被害者も何人か知っています。
わたし達の呪いは全部降ったのでしょうか。彼の息子や奥さんはどうなったんでしょうか。
彼は病気だったんでしょうか。
あの時捕まえてあげてれば病気は治ったんでしょうか。