『芝エビじゃなくてごめんなさい…。』
頬をつたう大粒の涙。
泣いちゃいけない、一連の不適切表示は人間が引き起こした事。私に責任はないのだから。
でも、でも…。止まらない涙。
私が芝エビなら…。
私の生まれはタイ。
養殖場で育った私は本当の海を知らない。荒波にもまれず苦労しないで育った故、本当のエビ、芝エビにはかなわないのだろうと思う。
ただでさえ冷凍で日本に運ばれる為、味も本領発揮出来ないでいると思う。悔しい。せめて生なら…。
去年の大洪水で離れ離れになった母がよく言っていた『どんなに辛くてもエビらしく生きなさい!』お母さん…。
そうだ。泣いてられない!
私は強くならなきゃ!
そうです私がバナメイエビです!芝エビじゃありません!
落ちます、味も食感も。
安いです、だって養殖だもの。
不思議と気持ちが楽になり、清々しささえあった。
そうだ私らしく生きよう!
私は空を見上げる。この空は生まれ故郷にも広がっているだろう。涙はもう乾いていた。
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