- ハンニバル〈上〉 (新潮文庫)/トマス ハリス
- ¥767
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入院中に読んだ「羊たちの沈黙」ではまって、結局シリーズ読み漁ってみました。
ハンニバルは、時間軸としては「羊たち~」の十年後。
過去にレクター博士に痛い目にあった変態金持ちが、金に物を言わせた復讐を企て、レクター博士が逃げたり、反撃したり、クラリス(女刑事)が奔走したりするお話です。
羊たち~よりも凄惨なシーンが多いですが、登場する人物のキャラがそれぞれ立っていて、ミステリー小説として面白く読めました。
でも、映画の終わり方が好きなので、原作の幕の引き方にはちょっとがっかりしました。
映画「ハンニバル」のクラリスは、レクター博士への思慕と、「慣れ合ってたまるか!」という意地が共存していて、レクター博士との間にビリビリくる緊張感が生まれていて好きだったんだけども。
原作だと、クラリスはレクター博士によって心の傷を癒されちゃった結果、意地もなんもなくなっちゃう。
素直になったと言えばそうなのかもしれないけど、ただの人間味のない「絶世の美女」になっちゃった。
映画と原作でまったくラストが違うので、気になっていろんな人の感想、書評を読んでみたけど…
興味深いことに、私が読んだ限り、原作ラスト支持者は100パー男性で、映画ラスト支持者は100パー女性。
- ハンニバル・ライジング 上巻 (新潮文庫)/トマス ハリス
- ¥594
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こちらは、レクター博士シリーズの時間軸の中では、一番最初のお話。
リトアニアの貴族の息子だったハンニバル・レクター少年が、殺された妹ミーシャの復讐を果たしながら、現在の連続殺人鬼としてのレクター博士になっていく…という。
彼の叔父の奥さんが、紫(むらさき)さんという日本人女性で、この女性からハンニバルは日本の精神や所作などを学び、彼の洗練された趣味・嗜好の根幹になっていきます。
そういうわけで、全体的に日本リスペクトなお話です。
日本人として読むと、確かに「仇討」というものはあるけども、ハンニバル少年が日本の精神を学んだのなら、もうちょっと自分の欲求をセーブできる人になって欲しかったわ~、と思わずにいられません。
そしてやっぱりハンニバルは例によって無敵なので、復讐相手側から反撃に出られても、ある意味安心感を持って読めます。
「いよっ、待ってましたっ」なノリです。
- パレード/川上 弘美
- ¥1,029
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川上弘美の、一見ぽややんとしているのに、濃密な匂いを漂わせる文章が大好きです。
ほんと、ぽややーんなのにね!
普通の女流作家っぽいぽややん感なのに、読むとどろどろしていて、圧倒されます。
この「パレード」は、「センセイの鞄」という小説のスピンオフです。
センセイとツキコさんが過ごす、夏のある日、そうめんを食べながら(このそうめんの描写がジブリのご飯クラスに美味しそう)ツキコさんの子供のころの話を聞く、というお話です。
妖怪?毛玉?みたいな生き物と、子供たちの、童話のような絵本のような小説です。
別にこう、面白いとか感動したとか、そういう小説ではないです。ボリュームもないし。
でも、「センセイの鞄」で終わってしまったセンセイとツキコさんの日々を、もう一度見ることができたのは嬉しいなと。
- 池袋ウエストゲートパーク (文春文庫)/石田 衣良
- ¥637
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これは再読。
面白い小説が読みたいな~、という理由で選びました。
面白かった。
ガングロとか厚底とかね、私が子供の頃の流行がわさわさ出てくる。
私にとっては「懐かしいな~」という感想だけど、
今の若い人が読んだら…
顔が黒くて唇だけパールピンク(ていうか白)とか、意味わからんのじゃないでしょうか。
- 非正規レジスタンス―池袋ウエストゲートパーク〈8〉 (文春文庫)/石田 衣良
- ¥572
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シングルマザーの話、シリーズの中ではシンプルで起伏の少ない話だったと思うけど、
その分、子供を女ひとりで育てるってどういうことか、深く、でもわかりやすく描かれていて好きです。
マコトが作中「この話は、泣いてもいいけど、その次に怒ってほしい」って言うんだけど、まったくそのとおり。
感動した!でもその次には、シングルマザーが置かれている状況に怒らなきゃいけないのでしょう。