私は10ヶ月という時間を経て、エホバの証人としての活動をひとつひとつ辞めていくことになります。
まず辞めたのは奉仕活動でした。
北海道に兄弟で異動したIブラザーズは実家がK会衆にあるので、しょっちゅう帰ってきていました。
ある土曜日の夕方の奉仕で、
だいたい夕方の奉仕というのは若い兄弟姉妹たちしか集まらないことが多く、
その奉仕時間の終わりに帰ろうとすると、Mがいきなりカメラを取り出して、
『Iブラザーズが帰ってきていることだし、みんなで写真を撮ろうよ!!』と言い出しました。
けれどみんなを誘導して並ばせたMはなかなかカメラを構えようとせず、私と妹の方をずっと見ているだけで『ERIEちゃんたちも早く並んで。』など声は一切かけません。
Mは『正規開拓者のみの純粋メンバー』で撮りたくて、
だから『落ちこぼれ』の私にはさっさと帰ってほしかったのだと思います。
ひねくれた考えでしょうか?
あとからなんとでも『ERIEちゃんとも撮りたかったのに、なぜか機嫌悪く帰ってしまったわ。』と弁護することも彼女にはできるでしょう。
けれど私たち姉妹が車に乗り込んでも、誰も私たちに声をかけることはなく妹に対してまで終始全員が冷たい目でした。
別に写真を撮ってほしかったわけではありません。
けれどこんな心の冷たい人たちと顔を突き合わせて、
心にもないことをオウムのように言うために知らない人の家のチャイムを押している意味がもう分からなくなり、
これがいいきっかけかもしれないと、車を運転しながら『今日で奉仕に行くのは辞めよう。』と決意し、
私はそれから奉仕に行くことをぱったりと辞めました。
集会はしばらくのうちは真面目に通って話を聞いていましたが、
普段人のことをいじめたり弄んだりしている人がえらそうに演壇の上から聴衆を見下げて聖書を開けろと要求し聖句を読んで話の筋書きを展開している、と思うと真面目に聞いているのがほとほと馬鹿馬鹿しくなり、
最初にノートを取ることを止め、次に言われるまま聖書を開くことを止め、
最終的に集会に手ぶらで参加するようになり、ただ黙って座っているだけになりました。