K会衆も主に地元の人たちからなる成員で構成されていましたが、

成員の数が増え会衆も分かれ、兄弟の数が特に少なく(※男性1:女性9程の割合でした)『必要の大きな会衆』と呼ばれるようになり、

他府県から新たな戦力として若い兄弟姉妹を受け入れることになります。


私が初めて『異動』してきたと認識した兄弟はG兄弟とAN兄弟、姉妹はKK姉妹とA姉妹でした。


4人とも20代で、小学校中学年〜高学年の私は新しいお兄さんお姉さんがよそから来たという感覚で最初はなんとなく嬉しかったですが、

思春期に入っていく私はここから男女の醜さを目にすることになります。


あとからK会衆には何組も兄弟姉妹が派遣されてきますが、

おもしろいことに性格というか、地元の成員に対する態度、特に異性に対しての扱い方が真逆の2人がペアになることが多くて、


AN兄弟は特に控えめで優しい言葉遣いで縁の下の力持ちという印象で会衆のみんなにすごく優しいけれど、女性との接し方にはたとえ子どもの私たちにもきちんと一線は引いている人でした。


一方でG兄弟は顔がよく、体つきもがっしりしていて、優しいけれどちょっと気難しそうで、

でも女性の扱いがうまいというか、軽い印象の人でした。


エホバの証人は信者同士での恋愛・結婚しか許されていません。


K会衆は特に兄弟の数が少なく、圧倒的に多い姉妹のうち独身の若い姉妹たちは恋愛経験も皆無なので、

外見も良くて女性に対する扱いがうまいG兄弟に対して恋愛感情を抱く姉妹たちが一気に増えました。


G兄弟はさすがに10代までの私たちには子ども扱いでしたが、

独身となった母にも異性として接しているのは子どもながらに分かるほどでした。


ある日母が話の流れで何気なく『うちには自転車がないんですよね。』みたいなことをちらっとみんなの前で話した時に、

その日の夕方に突然家の前に1台の自転車が置かれていて、自転車には油性ペンでG兄弟の苗字が書かれていて、


不審に感じた母がG兄弟に電話をすると『差し上げたいと思って、エホバからのプレゼントだと思ってください。』と言われたらしく、

母はものすごく気味悪がって『いりません、引き取りにきてください。』と即刻自転車を返したというエピソードがあります。


自分の苗字を油性ペンで書いた自転車を人の家の前にチャイムも押さずに黙って置いて行って、サプライズ感満載とでも思ったのでしょうが、

今思えばとても香ばしい行動だなと思います。