ちまちま書いていたら、随分と日にちが経ってしまいました…。備忘録です。
オペラを観劇しに、静岡県浜松市へ行って来ました。
会場は【アクトシティ浜松 中ホール】。
駅近の綺麗なホールです♪
今回観劇する演目は、手塚治虫さんの漫画『ブラック・ジャック』を、作曲家の宮川彬良さんがオペラにしたもの。
昨年初演、今年再演となりました。
…といっても、昨年と全く同じではなく、趣の異なった作品になっているのだとか。
え、そーなの??
↑当日知ったw
昨年はオーケストラだったけど今年は宮川さんのピアノ一人演奏だよ。
という情報しか知らなかった…

ですが、前回は都合がつかなくて残念な思いをしたので、今回観れてとても嬉しい。
ブラック・ジャック好きなのでo(^-^)o
漫画や、テレビをちょろっと観ていました。
ブラック・ジャックの歌や声といったらば、月光花や大塚明夫さんがパッと浮かびますが〜…オペラになるとどうなるのかな♪
大山さんブラック・ジャック役似合うだろうな〜♪
…なんて思いながらワクドキで向かいました(*´▽`*)
今回のお席は前方席。
オーケストラピットがなかったので、舞台上のみなさんが近く、表情が良く見えました。
歌声と、演技と、演奏と。
わあ…!舞台から客席へ放たれるエネルギーが凄かった!
それらを近くで体感出来たのは貴重でした。
こういう素晴らしい熱量の舞台を観れるって、幸せです。
遠征して良かったと心から思った素敵な舞台でした♪
3時間半があっという間です。
このオペラはオムニバス形式。
【時】をテーマとした3つのお話で構成されていました。
『第1章 87歳の挑戦』
『第2章 お前の中の俺』
『第3章 母と子のカノン』
原作とはタイトルが異なっていました。
(漫画では『あるスターの死』『ミユキとベン』『おばあちゃん』)
ストーリーはほぼ同じなのですが、まるっきり同じではないんですね。
漫画の中では描かれていなかった登場人物の背景や気持ちが細かく描かれていて、「そっか、この人はこんな気持ちで過ごしていたのかもしれないなぁ」と、より登場人物に寄り添えるようになっていたのがとっても楽しかった!
(内容は切ないし悲しいものもありますが…)
脚色が自然というか、無理がなく素直により深く楽しめるようになっていたのがとても素敵でした。
そこがすごく良かったなぁ〜。
脚本?の方は原作ファンなのかしら?!
特に第2章の『お前の中の俺』は、も〜やばかったぁ…><。
結末知ってるのに泣いてしまったもの。。
それぞれのお話別にまた書きます。
舞台はとてもシンプルなつくりでした。
大がかりな舞台セットはありません。
◆大きなスクリーン・布・新聞(それらに映像を写す)
◆大きな可動式の枠組みフル活用
これらが効果的に使われていました。
投影の効果がおもしろかったなぁ〜。
所々なんかデジャヴ?と思ったら、昨年観劇した『死刑執行中脱獄進行中』の時と同じ長谷川寧さんが構成・演出・振付をされていました。
死刑進行中〜の時も思ったけど、漫画ならではの見せ方であったものを舞台にしか出来ない見せ方で表現し観客を楽しませてくれました。
ブラック・ジャックは皆知ってるし独特の世界観を持つ作品だと思うけど、作品の芯はそのままに、新たに別の形に作り替えて表現されていて。
漫画やアニメとは違うのに、ブラックジャックの感動があるんです。すごーい。
ですが、実は最初、ちょっぴりショックだったんです…(^-^;)
昨年の、写真で見た原作に忠実なセットや衣装の舞台が観れると思っていたから。
観てみたらばほーんとにまるで別物!
前回の色彩豊かな世界とは違い、今回は全てが白黒の世界でした。
衣装は不思議〜なかんじ。
紙と布で作られているのかな?
正直最初は、
えっ…?あっ…まぢか…(´・ω・`)と。。
皮膚移植された顔や黒ロングコートや手術着姿の大山BJを拝めると思っていたし、ピノコとお手て繋ぐ姿に萌える予定だったんですよねーーーーーー(笑)
ピノコいなかったぁ

手術室のセットも凄いなあって楽しみにしていまして。
思っていたものとは全然違って、
あっちょんぶりけ〜!!(笑)
でも、2章から活躍する大きな枠組を使っての演出は特に素晴らしくて、物語が展開していくと次第に惹き付けられました。
白黒の舞台は漫画の世界から登場人物が飛び出してきたようにも思えました。
日本語上演ですが字幕があって、映される所がフキダシの形をしているんです。漫画のセリフみたいに。
おもしろ〜い、凝ってる〜〜♪
観客を物語の世界へ誘うように、各章の始まりにはストーリーテラーとして長谷川さんご自身も舞台上で活躍されていました。
世にも奇妙な物語のタモリさん的な位置(笑)
イケメンだったから俳優さんかと思ったわ♪
舞台の下手では、作曲者の宮川彬良さんが髪をファサファサ揺らしながらお一人で3時間ピアノを弾き続けていらっしゃいました。譜めくりも全部お一人で。
1人オーケストラ…
なんかもうほんと凄い…神だよ…
宮川さんの演奏を聴けただけでも有難い気持ちになりました。
激しかったり、優しかったり、楽しげだったり♪
様々な曲調で聴いていて楽しかったです。
中でもブラック・ジャックのライトモチーフ(なのかな?)は、かっこよくて好きです(*´∇`*)→★
漫画は読者が自分のペースで読み進めて楽しむものですけれど、今回は宮川さんが漫画から読み取った時間の流れで物語が進みます。
それには漫画にはない音楽がついていて。
数分で読み終わるものを、各章1時間ほどの時間をかけて展開されるわけですが、第1章での女優べティの気持ちを語る、信じられないほどの長大アリアがあったりと、登場人物の感情がこちらによく届いてきました。
言葉に音楽が乗って感情が届けられるって、凄いパワーなんだなぁ…なんて凄く思いました。
漫画を先に知っていたからなおのことそう感じるのかも。
わたしは深いファンではないけど、でもきっとコアな原作ファンも満足する舞台だと思いました。
それって大事だなぁと思うのです。
やっぱり漫画のほうがいいよねってなったら悲しくなりますもん。。
オペラBLACK JACKは素晴らしい作品です!
そして、オペラ歌手のみなさん。
お一人お一人が本当に素晴らしかった。
みなさん歌唱力・演技力共に兼ね揃えていらっしゃって、尚且つ見た目麗しい!
目も耳もしあわせ〜(*´∇`*)
キャスト12人実力者であった事ともうひとつ、
『雰囲気が役にかっちりとハマっている』
というところも良かったなあ。
素晴らしいキャスティング。
選り抜きの最高の布陣ですね!
歌声は、すごーーーく聞き取りやすかったです。
日本語歌唱でもクラシックの舞台になると、言葉の明瞭さよりも響きが重視されるのかな…?なんて思う事があるのですが、この作品では字幕がなくても楽しめるかんじ。
字幕のフキダシがかわいいので見ましたけど♪
また、みなさん歌って演技するにとどまらず。
めちゃくちゃ動くんです。
こんなにオペラ歌手が動くオペラって、初めて観ました〜(*_*)
男女共に全身黒い服を着て、枠を動かしたり踊ったりと複雑な動きをされるんです。
(ダンスはコンテンポラリーダンスというのかなぁ?このあたりの振りが死刑執行中〜を思い出したのかも。)
歌手×ダンサー×アンサンブルのような。
観てるほうは楽しいけれど、大変な作業ですよね。
オペラ歌手のみなさん、凄かったです!
や〜、それにしても、大山さんが踊っているなんて。
メリーウィドウではワルツを踊っていたような気がしますが、こういう姿は初めてみたぞ。
ふにゃりふにゃり
キビキビ
アンサンブルしてる
シャッシャ椅子動かしてる
たくさん動く大山さんが見れました(笑)
しんせーん♬*
で、BJになるときには、舞台上の下手上手にある衣装ラックから衣装を取り、劇中で着る(着せられる)んです。
みんながわらわら〜っと大山さんを囲んで。
Think Of Meのクリスティーヌより大人数に囲まれる(笑)
芸術的でスタイリッシュなかんじです。
ここで髪には白い粉を、顔の左半分は血糊がべったりとつけられます。皮膚移植された形のように。
みなさまに囲まれながら、ゆらりとぬるりと登場する大山BJは、異質で鋭さがあり影を持つ、でも温かい血の通った人間の、天才外科医でした。
ちょっとここから各章別に。まだ書く(笑)
往年の女優べティ役をされた鷲尾さんに拍手です!
長大アリアはご本人のブログを拝見しますと、なんと40分もあったのだとか。
第1章が一時間ほどなのに40分て…凄すぎる〜!!
たった1日でも良い、若さを手に入れて、また舞台に立ちたい!
女優の若さへの執念とべティの人生の思いが一気に膨れ上がって伝わってきました。
綺麗なお顔と華奢なスタイルで、女優の貫禄たっぷりな鷲尾さん。
キンキンしない、それでいて力強さのある素敵なソプラノさんでした。
また聴きたいな
べティをそそのかす代理店3人組もいい味が出ていて『手塚作品キャラ』にいそう!
部下のボブかな?テディかな?どちらかの前髪が、片側くるん
BJはこの章の最後で登場。
出番は少ないですが、べティに若い皮膚を移植する演出がおもしろかった。
何枚もの広げられた新聞?に鷲尾さんのお顔が大きく映されて、それをBJがメスでビリビリと切りとる…というオペシーンでした。
新聞のぺらっとした感じが、皮膚なんだな、と思えました。
ラストはあっけなさすぎる…
人の命とはこんなものなのでしょうか。。
プログラムにかかれた最初の文。
『人と人が愛し合うことは、互いの「時」を重ね合うことだ。』
なにこれ〜!
なんかもうこれ見ただけで、うるっ(T^T)
彩香と渉の純愛がとっても素敵でした。
ガンにおかされた女学生 彩香が歌う歌が切ないです。
『ひとりぼっちがあたしの友達 』かな?
イジメに遭っていることも、彼女がお嬢様で家政婦さんがいることも、こんな風に彩香が気持ちを現すのも、漫画にはないです。
物語に深みが増して感情移入しちゃいました。
彩香に一目惚れしてしまった不良少年・渉もまた、さみしそう。
だからなにか惹かれるものがあったのかな?
彩香もまた渉に少しずつ惹かれていったように思うけど…渉の事をどう思っていたんだろう。
その渉を今井学さんがとっても素敵に演じていらっしゃいました。
いい意味でオペラ歌手っぽくない方。
演技が自然で、注目しちゃう。
ミュージカルやストプレなどジャンルを問わず様々な舞台にご出演されているんですね。
『♪ようよう〜』言葉が似合う(笑)
『彩香を知らねえか?』ってこちらを向いて話しかけられたのにはびっくりしたっ。
下手でピアノを弾いている宮川さんにも聞いてた。
彩香をBJに治してもらうため、銀行強盗を働く渉。
奪ったお金を持ち逃げる途中で通り魔?に遭って…
BJが手術で渉の内蔵を彩香に。
大きな枠にビニールがつけられて表現されたオペシーンなのですが、BJがメスで切り裂き、中から出てきたのは彩香だけ。
手術が成功し、姿を現した彩香の後ろには渉のシルエット。
二人が重なって…
二人はひとつになったのです。
渉は彩香の中で生きているのです。
『お前の中の俺』なのです。
なにこれ、すごい〜〜〜
でもすごい事をちっとも文にできないもどかしさよ…
ずっと勝手に涙が流れていました。
とても感動しました。
母と息子の愛の物語。
これだけで泣ける…(涙腺ゆるみっぱ 笑)
息子が幼いころ難病にかかり、名医に治してもらったが法外な謝礼を要求される。
そのお金を何十年もかけて返金する母・邦子(おばあちゃん)。
息子はそれを知らないで育つ。
毎回小遣いをせびる邦子を不思議がって後をつけていく息子・猪一。
その日は返金する最後の日でした。
名医の夫人から事の顛末を聞き、母の大きな愛を知る猪一ですがー…
邦子役・中島さんのおばあちゃんぶりが素敵でした。
回想で若い頃も登場するのですが、声を使い分けていらして素晴らしかった!
息子を手術した名医が亡くなっても払い続け、息子を愛する母の姿が素敵でした。
息子の嫁も名医の夫人も素敵です。
綺麗な人たち〜(*´▽`*)
なのに、嫁役・田上知穂さんの庶民派妻の演技!素敵だったな♪
ちょっとクスッとしてしまうシーンもあるんです。
で、息子 猪一役・加藤宏隆さん。
ヘタレなかんじがいい!(誉めてます)
猪一も演じつつ、回想シーンでは医者役もされていなかったかな?
素敵な声です。
汗びっしょりで熱演されていました。
…ーで、その猪一。
真実を知った直後に、邦子が倒れてしまいます。
BJに助けを求める猪一。
そんな猪一にBJは問います。
『助かる見込みは少ない。しかも治ったとしても認知症だ。』
『もし助かったとしたら、治療費は○千万円いただく』
『あなたに払えますか?』
緊迫した空気の中、猪一はBJに熱く返す。
…様子が見えるだけで、実際セリフは聞こえない。
BJはこう返します。
『それを聞きたかった』
これ〜!!
わたしは大山BJのそれを聞きたかったが聞きたかったの!!です!!!
かっけぇ〜(*´Д`*)
BJかっけぇ〜〜〜っっっ
猪一が何と言ったのか不明なところもいい。
漫画だとしっかり返してます。

お前に母と同じ覚悟があるか?
本気で治すからお前の本気も見せろ。
…ってことよね。
でも、これきっとBJは治療費請求しなかったんじゃないかなーと思いますが、どうなんでしょ。
猪一の覚悟が見たかったんだよね、って。
BJは法外な治療費を請求する医者だけど、ちゃんと血の通った人間だよかっこいいよー(*´Д`*)
大山さんかっこよかったぁ〜…(*´Д`*)
やっぱりBJ役似合うよー(*´Д`*)
観れてよかったよー(*´Д`*)
最後は1〜3章の登場人物全員と合唱が加わり、BJのソロ『コップ一杯の水』が歌われ大団円!
みなさんどうもありがとうございました!
カテコのやりきった!な清々しい笑顔の大山さん、みなさまにたくさん拍手を送りました。
時と、命と、それぞれの人の思い。
普遍的なテーマでどのお話からも人間ドラマをみました。
素敵な舞台をありがとうございました(*^▽^*)

写真はグッズのタオル。
記念になります♪





