何も怖くない 何も
苦しみが増せば 愛も増す
危険は愛を一層強め
感覚を磨ぎ 人を寛容にする
私はあなたの天使
生の時より美しくこの世を去り
天国はあなたを見て言うだろう
人間を完全にするもの
それこそが
愛だと
『愛を読むひと』
なぜかたくさん棚に並んでる中からこれだけが抜け出て見えた。なんだか観なきゃって気になってた。
あらすじはこうだ。
1958年のドイツ。
15歳のマイケルは21歳年上のハンナとの初めての情事にのめり込む。
ハンナの部屋に足繁く通い、請われるままに始めた本の朗読によって、2人の時間はいっそう濃密なものになるが、ある日、ハンナは忽然と姿を消す。
1966年、大学で法律を学ぶマイケルは傍聴した法廷の被告席にハンナを見つける。
裁判に通ううちに彼女が必死に隠し通してきた秘密にようやく気づき、衝撃を受けるのだった。
物語はハリーポッターのヴォルデモートでもお馴染みのレイフの切なげな表情から始まる。
人と密接な関係を持とうとせず、すごく重い何かを抱えてずっと生きているようなそんな描写に惹かれた。
場面は変わり、マイケルの青年期へと。
マイケルはハンナと出会う。
その出会い方も風変わりで面白い。
序盤はベッドシーンも多く、若々しく経験の乏しい青年が不釣り合いな大人の女性の虜になっただけの単純な映画だと思って肩を落としていた。
だが時間が進むうちに、それだけではないことに気づいた。
むしろ大事なことはそこになくて本編に繋げるための助長に過ぎなかったんだなと。
喋りすぎるとネタバレになる気がしてどこまで紹介すればいいのか正直難しい。
ある日から本の朗読をするようになり、2人を繋げるものは本だけだった。
2人のこの関係が思うようにうまくいかないもどかしさと、まだ青く、どうしていいか分からないと涙ぐむマイケルにとても引き込まれる。
ひと夏の激しい恋で終わったはずだったハンナとマイケルの関係は終わったようで終わってはいなかった。
大学生となったマイケルは法学生として法廷の傍観をした時、ハンナと再会する。
ここで重要となってくるのがドイツ。
どうして舞台がドイツだったのか
その法廷はナチス戦犯を裁くものだった。
それからというもの、すごく面白い展開になっていって目が離せない。
法の映画はあまり観ることが少なくて、とても興味深かった。
たくさんの命を奪ったその戦争でハンナは軍の看守として罪に問われ、被告席に座っていた。
彼女は罪の重さに関わる彼女自身の重要な秘密をどうしても明かそうとしなかった。
彼女はそのせいで、苦しく辛い生涯を送らなくてはいけなくなった。
その秘密はあるハンディキャップなのだけれど、マイケルはハンナと過ごした日々を思い出し、その秘密を理解した。
マイケルが裁判長にその秘密を明かしてしまえば彼女の人生を救うことはできたのに彼はそれを選ばなかった。
その意図を汲み取ると、真実の愛を感じることができた。
彼女が刑務所に入ってからも、マイケルはある形で彼女を支え続けた。
きっとここからは涙が止まらない。
彼女の罪を拭うことはできなくても、一緒に背負っていくことはできる。
彼なりの彼女への愛情表現だった。
衝撃的なラストで幕を閉じるけど、とても見応えのあるものだった。
この作品は過去と現実の入れ替わりが激しく、戸惑ってしまうこともあるけれど、だからこそ見えるものがあった。
愛より罪より法より生き方を考えさせられる映画。
マイケルは何も特別ではない。
ごく普通の青年だった。
そんな青年のリアルな感情がよく表現されていて、共感を呼んだ。
2人とも本当に演技がうまかったのもこの作品を素晴らしさの一つ。
マイケル役のデビッドは演技は涙を誘う。
彼にしかできない表情がたくさんあった。
ハンナ役のケイトの体当たりな演技も充分評価され、主演女優賞も受賞した。
アカデミー賞にもノミネートされたこの作品、是非どうぞ。
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