ある方の訃報を知り、
少し落ち込んでいます…。

お会いした事はありませんが、
そのお仕事ぶりを尊敬し、
作品集を眺めては
憧れておりました。

そんなわけで、
まだまだ袷は…と思っておりましたが、
私なりの追悼の意を込めて
急きょ墨黒の紬で出掛ける事に。



その日は
東京芸術劇場
シアターウエストで上演中の
草刈民代さんと
高嶋政宏さんのふたり芝居、
『プルガトリオ』へ。



タイトルの意味は“煉獄”。

それは天国と地獄の間にあり、
死者の魂が自らの罪と向き合い
炎で焼き清められる場所なんだとか。

独房のような
白い小部屋の中で
静かに始まるお芝居ですが、
ふたりの会話は徐々に
熱を帯びていきます。

死んでからも尚
こんなにも果てしない
苦しみが待っているのか…と思わされ、
緊迫したやり取りに
観ていて冷や汗が出ました…。



驚く事にこのお芝居、
企画から民代さんがやっています!
(周防監督が脚色を担当)

バレエの現役時代から引退公演、
その後のミュージカルやお芝居…と
折に触れ、舞台に立つその姿を
拝見しておりますが、
常に新しいものに挑戦する姿勢には
心から感動します…!

「踊りをやめて10年。
   ここからが本当のスタートです。」

…とは、
パンフレットに書かれた
民代さんの言葉ですが、
バレリーナから
きっぱりと俳優に転身され、
今後ますます
活躍されていくだろう彼女の
所信表明のような舞台でした。



そんな舞台を観た後だからか、
帰り道、ウインドウに映った
自分の姿を見たら、
締めていた帯の赤い菊が
魂を清める炎のように感じました。



憧れの方の訃報から始まり、
“死と魂”について
思いを巡らせた一日でした…。