ママ、この感情に名前は?
小さい頃お母さんによく言った言葉
これなに?
なんで?
どうして?
全てが初めてだった私は全てを知りたがった
教えて貰って、お父さんにそれを自慢して
私にはもう知らないものは無いってくらい思ってた昔の記憶
あれから時間は嫌なほど経ったのに
こんなにも大きなことを知らないものがあったなんて
よく分からないアルファベットが並んだ英文、
漢字ばかりで埋め尽くされた難しそうな本、
数字ばかりが並んで答えを求めてくる数学、
そんなものよりも難しくて厄介なもの
近所の猫の名前よりも、この大きな"知らない"
を優先して学んでおけばよかった…
「ーー」
自分の名前が呼ばれたわけじゃないのに
なぜ、こんなにも反応してしまうんだろう
名前を呼ばれた本人がここに居るわけじゃないのに、なんでこんなに体が暑くなるんだろう
困った
今日こそは、と気合を入れたばっかりなのに
こんなにも簡単に心を乱される
今日も乱されっぱなしの1日になると思うと、
弱い自分に呆れてくる
遠くから聞こえる優しい声と
聞きなれない声
誰と話してるんだろう…彼女さんかな、
考えれば考えるほど心が乱れていく
嫌だな、誰とも話して欲しくないな、
そんなこと思っていい権利すらないのに…
「大丈夫?」
さっきまで誰かと話していたあの人が突然目の前に来てて、驚きを隠せなかった
「クスッ…変な顔」
そう小さく言って
優しい笑顔で、両手で犬を撫でるように頭をワシャワシャされて
髪をくしゃくしゃにされた
誰の為にこんな整えたと思ってんだ
その苛立ちは心だけで呟いて
「ねぇ、くしゃくしゃじゃん」
軽く怒れば、怒った?ごめんね?
そう言ってくしゃくしゃにされた髪を直してくれる
直すくらいならやらなきゃいいのに
これも、また、心だけで呟く
口にしたらもうこの人に触れられることが無くなりそうだから、