ブージャムのドアをノックするボロゴーヴ。
「どうぞ。」
ブージャムが、本棚に本をしまいながら返事をした。
「ブージャム。あなた、最近バンダースナッチ見かけた?」
ボロゴーヴがブージャムの部屋を見回しながら尋ねた。
「いや、見かけていないが?」
ブージャムは首を傾げながら答える。
「何を考えているのかしら?」
ボロゴーヴは指を顎に当て神妙な顔つきをする。

ニノは、ジャバウォックが最近訪れている地域に来ていた。
ジャバウォックは、一般のHUMAXからの人望が厚く、彼の為に戦う者もいるぐらいである。
何故人望があるのかは、ジャバウォックの功績に寄るのだが、それは後の機会に紹介する。
都会的な町並ではあるが、やはり人間は差別されていた。
ある飲食店の裏口から口論が聞こえた。
ドアが開き、人が突き飛ばされた。
「お前みたいなトロい奴がいると迷惑なんだよ!」
店の従業員とおぼしき人物が、突き飛ばされた、こちらも従業員らしき人物に唾を吐きつけた。
ドアが閉められ、茫然とする従業員。
「ひでえな…。」
従業員が振り返ると、ニノが後ろに立っていた。
「き、き、君は、だ、誰?」
従業員が吃りながらニノに聞いてきた。

ニノと吃音症らしき青年は公園にいた。
「ぼ、僕は、ド、ド、ドジソン。き、君は?」
「俺はニノ。」
ニノはドジソンから、この街の事を聞く事にした。
「こ、こ、この街は、へ、平和さ。に、人間だって、ひ、HUMAXに逆らわなければ、あ、あ、安心して暮らせる。」
ドジソンからは意外な言葉が返ってきた。
「あんな目にあっても?」
「あ、あの人は、に、人間だよ。ど、吃り癖のある、ぼ、僕を差別するのは、
に、人間の方さ。」

その夜、ニノは博士とパソコンで通信した。
「ジャバウォックはいったい何をしようとしているんだ?」
ニノのその問いに博士も考え込んでしまった。
ニノも、ドジソンの言葉や街を見て、HUMAXに逆らう事さえしなければ、人間でも優秀な人材は、豊かな暮らしをしていたのを実感した。

翌日、ドジソンの勤めていた飲食店にニノは立ち寄った。
確かに、普通に働いており、HUMAXの影さえ感じない。
店から出ると、ドジソンが店の周りをうろうろしていた。
「ドジソン?」
ドジソンに気付いたニノが声をかける。
「ニ、ニノ君?」
何故かドジソンはニノの前から逃げ出す。
「おい!」
ニノはドジソンの後を追う。

ドジソンは、広場のような所で躓き倒れる。
ニノがドジソンに追い付く。
「なんで逃げんだよ…。」
ニノが座り込んでいるドジソンに聞く。
「ぼ、僕だって、な、なにかの役に立ちたい…。」
ニノは片膝をつき、ドジソンの肩に手を置く。
「HUMAXの世の中じゃあ、人間は輝けない…!」
ニノがドジソンに諭すように話した。
ドジソンは、そんなニノの手を振り払う。
「!?」
ドジソンのその行為にニノが驚く。
「ち、違うんだ。ぼ、僕は、に、人間が嫌いだ。だ、だって、ぼ、僕は、ひ、HUMAXだから…!」
ドジソンがそう言い放つと、ドジソンがドードー鳥のような姿に変身した。
「ドジソン…。お前…!」
ニノは、ドジソンがてっきり人間と思っていた。
この街では、人間がHUMAXを虐待していた事になる。
「そんな、バカな…!」
ニノは、今までの自分の価値観が崩れるのを受け入れないでいた。
「ニノ君。君は優しい男だ。でも、僕は人間の姿だとどんくさく吃りがある。でも、この姿だと、僕は普通に喋れる。僕にとってこれが普通なんだ!」
ドジソンが力を入れると、肥満体の姿から筋肉質の姿に変化した。
「僕だって君と戦いたくない。でも、HUMAXと人間はわかり合えないんだ!」
ドジソンが突進してくるが、ニノは変身を躊躇していた。
(HUMAXも人間も、所詮は同じなのか?俺の戦いはいったい?)
自問自答しているニノにドジソンが体当たりした。
その衝撃で、近くの木に衝突するニノ。
「僕に情けでもかけているのか?戦うのなら、戦え!君に戦う気がなくても、僕は君を倒す!」
ドジソンが再びニノに向かって突進してくる。
「しっかりしろ!ドジソンのような奴を出さない為にも…。」
ニノがスティックを取り出す。
「HUMAXを…。」
スティックをベルトの横に嵌める。
「俺は、倒す!」
スティックをベルトの中央にスライドさせ、ニノはツヴァイに変身した。
変身する際の光りにドジソンが弾き飛ばされた。

続く