PLTFoW「森の惑星」生徒用ページ
地球のことを「水の惑星」と呼ぶのはよく聞きますが、「森の惑星」としてもっと知られてもよいのではないでしょうか。森林は、地球上でもっとも広がっている自然環境(natural community)で、地球の陸地の31%を占めています。 地球規模で伊カバ、これらの森林は地球の必須生物圏システムにとって不可欠です。地域にとっては、森林は食料、燃料、住居を提供してくれます。
森林は地球上の生命にとって不可欠な存在である
森林とは何でしょうか? 多くの場合、人が森林と聞いて思うのは木々です。木々は森林の中で最大で、もっとも目立つ構成員ですが、木々だけで森林が成り立っているのではありません。森林には他にもさまざまな生き物、低木、ツタ類、香草、シダ類、コケ類その他の植物と、バクテリア、菌類を含む動物が、昆虫からほ乳類、鳥類からは虫類、両生類まで、生きています。この森林生態系の豊かな多様性が、生命体も非生命体も含めて、惑星のいたるところで生命をつなぐことを助けているのです。
森林は、土壌を固定し、流出を防ぐことで流域(watersheds)を保護します。森林から出る葉、小枝、樹皮は、豊かな腐葉土へと腐敗し、植物の栄養となり、保水のためのスポンジとなるのです。森林の植物は太陽のエネルギーを化学エネルギーに転換し、その化学エネルギーは食物連鎖の網を通じて貯えられ、転移していきます。この光合成のプロセスを通して、森林は二酸化炭素を吸収し、酸素を生み出します。さらに、森林は、陰となり、空気を冷やし、地域の気候を緩和し、何百万もの植物や動物の種の生息地(habitat)を提供しているのです。
森林から得られる恩恵は、その中にとどまりません。私たちは森林が水循環を規制し、大気から二酸化炭素を貯え、生物的多様性を支持することに頼っています。しかし、他にも森林の恩恵を受けていることがたくさんあるのです。例えば、北米の農家と林業者は、熱帯の森林で一時期を過ごし、北米にやってくる鳥、コウモリ、昆虫が、穀物を受粉させ、種を運び、有害な生物を餌とすることに、頼っています。
森林は世界の経済にとっても必須です。森林は材木、紙などの木材製品を提供します。また、非木材製品として、食料、ゴム、薬品、油、樹脂、スパイスなどがあります。世界中の諸国にとって森林はとても重要なので、森林製品と森林が提供するサービスの年次価値は、世界のGDP(gross domestic product)の10%、米ドルに換算して4,700,000,000,000ドル、4.7兆ドルと推定されています。(コラム「世界の森林はどこにある?」参照)
コラム「世界の森林はどこにある?」
世界の森林は、この15カ国のリストからもわかるように、地球のさまざまな場所にあります。これらは森林面積の大きい上位の国々です。
位 国 総森林面積(1000ha) 世界の森林に占める率
1 ロシア連邦 809,090.00 20.06
2 ブラジル 519,522.00 12.88
3 カナダ 310,134.00 7.69
4 アメリカ合衆国 304,022.00 7.54
5 中国 206,861.00 5.13
6 コンゴ民主共和国 154,135.00 3.82
7 オーストラリア 149,300.00 3.70
8 インドネシア 94,432.00 2.34
9 スーダン 69,949.00 1.73
10 インド 68,434.00 1.70
11 ペルー 67,992.00 1.69
12 メキシコ 64,802.00 1.61
13 コロンビア 60,499.00 1.50
14 アンゴラ 58,480.00 1.45
15 ボリビア 57,196 1.42
*ちなみに、日本の森林面積は2512万ha(上記と同じ単位にすると25,120.00)
森林は場所によって、大きく異なります。ある森林で優勢な樹種は、気温、土壌、その他の物理的な非生物的な要素と、そこに生きている植物や動物で決まります。
国連FAO食料機構は、森林を月ごとの平均気温を第一基準として、分類しています。
・ 熱帯林(tropical) は異年を通して温かい気温の赤道付近に多く見られます。
・ 亜熱帯林(subtropical) は一年のうち、少なくとも8か月は温かい気温の熱帯の北側および南側に広がっています。
・ 温帯林(temperate) は、劇的な季節の変化がある中緯度地域に見られます。
・ 冷帯林(boreal) は、長く寒い冬と涼しい夏がある南北の高緯度地域に見られます。
アクティビティ3「世界の森林を地図にする」に森林の分類についての情報があります。参考にしてください。
人々と森林: 時代を越えたつながり
人類最古の居住地として知られている時代より前から、人々は森林に頼り、そして森林を変えてきました。今日と同様、初期の狩猟採集社会にとっては森林は食料、燃料、住居のための資源でした。時代とともに、木々はまずは建設資材およびエネルギーを提供し、人々は寒冷な気候に住まい、食べ物を調理し、陶器を焼き、後には金属を溶かし、製品化し、農機具、道具、武器を作るようになりました。「森の旅という本で、著者であるジョン・ペリンは、「木材は、初期の社会の基礎をつくりました。」そして、彼は人々が「骨と石」文化から現在の技術的に進歩した状態まで変化していく上で、中心的な役割をは足していると言います。
17
ギリシアローマ時代の初期の文明からずっと、人々は木材や木炭を使って、調理と暖房だけでなく、ガラスを溶かすための燃料、染料、石けん、建設資材であるブロック、セメント、タイルなど作るのに使ってきました。木材は19世紀までは、橋、建物、車軸、船、箱車、水車、風車を作るために必要不可欠な材料でした。そしてまた、19世紀末から20世紀初頭にかけては、鉄道網の拡大に大きな役割を果たしました。21世紀になったいまでも、木材は、エネルギー資源の第一位なのです。世界で1700万立方メートル以上の木材が燃料として毎年使われており、34カ国の途上国では、必要なエネルギーの70-90%をまかなっています。私たちはいまも建設資材として木材を必要としています。材木、紙、段ボール、その他の製品として世界で毎年1.5百万立方メートルが使われています。
グローバルな関心事
森林は、わたしたちの惑星の生命にとって不可欠な要素であり、人口増の大きな圧力にさらされています。世界のほとんどの国は、森林の問題を環境問題のトップに上げています。いちばんよくある理由は、森林破壊です。森林が永久になくなることです。そして、もう一つは、森林の健康が失われていくことです。森林は、人口増加、気候変動(global climate change)、伝染病などの地球規模での環境問題の要にあるのです。
人口増加
世界の人口は2007年には66億人になり、現在も増え続けています。増加率は減るかもしれませんが、20世紀の間だけでも75%も世界人口は増えたのです。その直接的そして間接的な結果として、20世紀に世界の森林は、半減しました。約300万ヘクタールです。1990年代には、人口増加が急速にすすんだ国の多くで森林破壊が起こりました。地球政策研究所(Earth Policy Institute)のレスター・ブラウンは次のように説明します。「この正比例はわかりやすいものです。人口増加につれてより多くの農地、牧草地、森林製品が必要になるからです。」
消費の増大
森林製品の消費は、ここ30年の間に倍増し、今後も増え続けるようです。
森林破壊
開発行為、都市化、農地への転換などによる森林地の恒久的消失は、森林破壊と呼ばれていて、国際的な関心事となってきています。今日では、森林面積は390億ヘクタールで、南極とグリーンランドを除いた陸地の3分の一近くです。(コラム「世界の森林面積と森林率の変化」参照)これはまだまだ広大な森林であると言えますが、人間が農耕を始めた1万1000年前ぐらいの頃に存在した森林量の半分なのです。
20世紀には重大な森林破壊が起こりました。1990年代に、南米およびアフリカは89百万ヘクタールの森林を失いました。世界全体での森林消失は鈍化しているように見えますが、熱帯地域での森林破壊は加速しており、毎年13百万ヘクタールが失われています。森林は農地に転向された土地でも成長できますし、するでしょう。アジアとヨーロッパでは、森林被覆率の経年変化は、増加に転じています。
p.18
コラム
生物多様性
生物学的多様性、あるいは生物多様性は、有機体のすべてのレベルでの生物学的バラエティのことです。ある種の集合体における遺伝子的バラエティもあれば、生態系的コミュニティにおける生物種の多様性もあります。生物多様性は、そのエコシステムの健全さの指標としても使われます。森林は、すべての陸上生態系の中でも、もっとも大きな生物種の多様性を持っており、陸上生物種の3分の2に上ります。しかしながら、森林が劣化したり、消失してしまうと、多様性もまた失われます。農業や狩猟、木材伐採など人間が引き起こしている圧力は生物種全体としては減っていますが、地域の固有種を脅かし、外来種が入り込みやすい条件を作り出してしまうのです。
外来種による侵略は、地球全体の生物多様性にとっての主要な脅威であり、もちろん、損林そのものにとっても同様です。侵入種の植物や動物は、彼らの増加を阻む自然の天敵が存在しないため、成長や増加が速い傾向があります。例えば、タヒチでは、1937年に、魅力的な景観樹種として導入されたメコニアが土着の森林を置き換えて、70-100もの固有種の植物を危機に陥れてしまいました。
地球気候変動
森林は、地球気候変動とも関わっています。大気中の二酸化炭素の良は1850年から1998年の間に30%増加しました。それはほとんどが人間が化石燃料を燃やした結果なのですが、調理と暖房のために木を燃やした結果でもあります。気候モデルは、二酸化炭素の量がもっと増加すれば、地球の大気を暖め、雨量、海面レベル、気候のパターンを変えると同時に世界の生態系の分布、度合い、構造を変えてしまうと予測しています。
炭素は、大気、海洋、植生、動物、土壌の間を自然の営みとして循環しています。光合成のプロセスを通して、木々は二酸化炭素を大気から吸収し、それを木質細胞に貯えます。森林は、陸上の生態系の中で、もっとも多くの炭素を固定していて、平均して一本の立ち木は、9kgの二酸化炭素を大気から取り込んでいます。地球規模で言えば、森林が炭素を貯えることができる量は、大気中の二酸化炭素のような気体を安定させるのに、決定的な役割を果たしています。
政治的安定
森林やその他の自然資源が希少になったり、激しく傷つけられたりすると、政治的社会的不安定が起こります。そのために、政治的危機や時には軍事紛争にまで発展することもあるのです。例えば、ハイチでは、無規制な木材伐採、農地への転換、燃料としての薪利用が行われた結果、急激に森林が減少しました。1920年代のハイチは森で覆われていました。60%以上の陸地が森だったのです。1999年までに、それがたった2%だけになってしまったのです。環境の質が悪化したことで政治的に不安定になり、大規模な移民が起こりました。
伝染病
人間の健康は森林の健康とつながっています。例えば、ペルーの熱帯雨林の奥深くで、人々はマラリアにかかるようになりました。この病気はつい最近まで、まったく知られていなかったものです。科学者たちは、この病気の広がりは、森林破壊の結果であることを発見しました。明らかに、森林が切り払われ、野生動物が排除されてしまえば、マラリアの病原菌のキャリアである蚊は、あたらしい宿主を探す必要があります。それが人間だったのです。ほとんどのマラリアは、熱帯が原産ですが、米国およびヨーロッパでは「空港マラリア」が着実に増加しつつあります。それは、熱帯になど行ったこともない人々が、行った人と接触することによって広がっているのです。
世界の飢餓を救う
世界の農業者たちは、共通の課題に直面しています。土地を劣化させずに、より多くの人間に食料を供給するにはどうすればいいという問題です。世界中、そして、歴史上のいかなる時でも、この食料供給のニーズが、森林を切り倒し、焼き払い、農地を増やすことをしてきたのです。今日の森林破壊の原因の一つは、生存(subsistence)農業という、自分たちの家族を養うための農業なのです。
先住民の人々と文化
世界の先住民の人々の多くは、森林を利用し、管理する長い歴史を持っています。そのために、森林の質が低下したり、森林がなくなったりすると、大古な影響を受けるのです。現在および過去の森林政策は、しばしば地域の人々を森林計画や保全から除外してきました。その結果、これらの人々の生命と生存の危機と森林の減少につながったのです。
森林破壊と森林の質の低下に直面して、多くの先住民の共同体が森林の保護者としての役割を取り戻そうとしています。世界のあちこちで、先住民の人々は森林破壊につながる急激な経済発展を止めようとしています。同時に、先住民の人々の伝統的な知恵は、ますます持続可能な森林管理(sustainable forest management)のために重要であることが理解されてきているのです。
地球から地域のつながりまで
地球希望での世界の森林の広がりと健康は、地域での人間の活動に影響されています。農業、牧畜、薪の採集、商業的木材伐採、原生森林を商品作物としての人工林に植え替える、都市化の進行、新たな居住地の開発、森林管理の公有地および私有地における実践、道路建設、水力発電のための溜め池などが、特定の森林地に大きな影響を与えることでしょう。確かに地域での人間活動が森林に影響するとは言うものの、これらの活動がどれぐらいの頻度で起こるかは、国際的、国内的なレベルにおける経済、政治、社会的な力によって決まります。
森林に対する地球規模の対応
地球規模では、森林が直面する諸課題に応えようと努力が続いています。1992年にリオデジャネイロで開かれた国連地球サミットには、102カ国の代表が集まり、世界の森林の大切さを確認する二つの国際条約を採択しました。森林原則声明は、森林とその持続可能性について初めて合意されたものですし、アジェンダ21は、持続可能性な開発のための国際的な行動計画です。(これらの文章は、国連のウェブサイトで見ることができます。)
リオデジャネイロでの会合以来、持続可能な森林管理にむけた進歩をチェックするために国際的なプログラムが始まりました。(コラム「世界の森林を管理する」参照) これらのプログラムの中で、もっとも総合的で、長期的な国際的なイニシャティブには100カ国以上が関わっています。このイニシャティブは規準(criteria)あるいは持続可能な森林管理の条件のカテゴリー、指標(indicator)、すなわたこれらの規準を測ることのできるサインなどを定義しています。これらのイニシャティブを承認することで、それぞれの国は、国内の森林すべてを持続可能なように管理することをはっきりと示したのです。
世界の森林に対する地球規模の関心が広がる中で、国際的な協力によって森林の使われ方に大きな影響が出てきています。例えば、二酸化炭素とその他の「温暖化ガス」を減らそうとする国際的な協定は米国およびラテンアメリカにおける私有地の地主たちに、彼らの農地を生産森林にして、炭素を貯めようとする経済的な動機づけを与えています。(コラム「炭素を固定する」参照)
p.20
世界の森林を管理する
歴史以前の時代から、人間は森林を管理してきました。もっとも単純なやり方としては、食料や燃料、住居などの特定のニーズにあった木々の成長を促進するというものです。望ましい樹種を植林したり、間伐などの技術で特定の木に光がよくあたるようにすることで、成長を促進したりするのです。同じように、望ましくない樹種を、焼いたり、切り倒したり、毒で痛めたりすることで、取り除くことができます。
森林を、人間の干渉のスペクトラム上に捉えることもできます。一方の端が初期林primary forestsです。初期林とは、人間が手をつけていない森林共生体で、ほぼ原生種で構成され、人間の活動に影響されていないか、影響されているとしても原住している人々による狩猟や採集だけに限られている森林のことです。もう一方の端には、商品作物として植えられ、育てられ、収穫される植林でできたプランテーションがあります。
このスペクトラムには、人々のさまざまなニーズを満たすために操作され、管理されている多様な森林が含まれます。その中には、他の森林よりしっかりと管理され、優先順位の高い役割にみあうように操作されている森林もあります。農的林業agroforestryでは耕作地や牧草地が森林地の間にあります。国立公園や自然保護区のように保護されたエリアの森林ですら、野火の危険を最小限にしたり、木の伝染病が広がるのを防いだり、地元の人々が生存可能なレベルで果実や木の実、その他の産物を収穫することを許す程度の管理が行われています。
1990年代には、人々は、持続可能な森林管理という概念を受入れ始めました。持続可能ということは、現在の世代だけでなく、未来の世代のニーズも満たすように、森林を管理するということです。簡単なように見えて、持続可能性は、経済、環境、社会などの要因がかかわる複雑な目標なのです。それは、人間の社会のための長期的な利益を確保し、生態系的な多様性と森林の活力を維持することを意味しています。また、森林に関わるすべての関係者が遵守すること、森林の現状と未来の姿を正確に評価することが必要です。持続可能な森林管理についての国際的なイニシャティブについてはアクティビティ6「持続可能性を求めて:グローバルな責任」を参考にしてください。
森林認証
認証というのは、森林がよく管理されていることを証明し、そのことを認定するプログラムを通して宣言しているプロセスを指す一般的な用語です。森林および製品の認証は、責任ある林業を推進するためのガイドラインと構造、いくつかの水準などと、そのことが守られているかいなかを独立した第三者機関を通して保証するために作られました。認証は、消費者や顧客からの「グリーンな」製品を購入したいという、市場の需要を満たすためのものでもあります。世界にはさまざまな森林認証制度があり、それぞれは少しずつ焦点が異なっています。土地所有のあり方、政府の構造、森林所有者の価値観、森林タイプの違いなどの特徴を反映しているからです。
これらの水準は、さまざまな問題に対する評価可能な必要条件、具体的には、生態系的あるいは文化的に特別な価値のある場所を保全する、絶滅のリスクにある生物種を守る、野生生物の生息地を守る、持続可能な収穫のレベルはどれぐらいか、再生のスピードをあげるなど、さまざまな側面についての規準を含むことで、経済的環境的社会的な価値観をすすめます。認証について詳しくはアクティビティ6を見てください。
世界の森林のための時間
国際的なイニシャティブが、完全に実行されたとしても、森林破壊と消失を完全に止めることはできません。多くの国では、森林製品によって経済成長をめざしていますし、多くの個人は、生きるために森林を伐採し、更地にする以外の選択肢がほとんどないのです。
それでも、これらの対策は世界の残された森林に対する圧力を下げると期待されています。国連FAO世界食料機構によると、すすんではいるものの、その道は着実なものではないようです。地域によっては、特に先進国、温帯地方では持続可能な森林管理はずいぶんとすすんできて、森林政策や法律が改められ、森林関連機関が強化されています。しかしながら、発展途上の経済地域や熱帯の生態系においては、森林はいまも減少しています。これらの国の多くは、その傾向を反転させるだけの強力な機構をもとうにも財源がないのです。
FAOは問います。「世界はますます複雑な課題に直面しています。持続可能な森林経営と平等な経済発展を両方ともに達成することはできるのでしょうか。」と。これは、わたしたちがそれぞれの地域で、そして地球レベルで直面していることなのです。世界の森林を保全することは、すべての生き物、もちろん人間も含めて、すべての生き物の未来の健康がかかっているのです。
p.21
コラム「炭素を固定する」
前世紀に、化石燃料を燃やす、森林を壊す、草地にしてしまうなどの人間の活動と、その他の土地利用の変化が、大気中の二酸化炭素を大幅に増やしました。ほとんどの科学者は、その急速な大気中の二酸化炭素の増加が地球規模の気候に影響すると考えています。
この傾向を変えるために、大気中の炭素を固定することによって、二酸化炭素を減少させようと人々は考えました。炭素の固定というのは、自然のプロセスおよび産業的な技術によるプロセスで大気中の炭素をつかまえ、生物的貯留庫(緑食植物や森林)あるいは非生物的貯留庫(土壌、石油や天然ガスの炭坑跡、塩水帯層)に貯めておくことです。
木々は木質の中に大量の炭素を貯めているので、森林は炭素を固定するための有望なメカニズムの一つです。光合成を行う植物として、木々は、太陽のエネルギーを使って空気から二酸化炭素を吸収し、それを水と合わせて当分とその他の有機化合物を作り出します。他の植物と比較して、木は炭素の長期的な保存に適しています。なぜなら、木の幹、枝、根は多くの木質を含むからです。木材と将来の木材製品は、それらが焼かれるかあるいは腐敗分解することで炭素を放出するまで、炭素を固定し続けるのです。
炭素の保存と固定は、永久にとまでは言いませんが、他の道を探るのに必要な時間を与えてくれるかもしれません。木を植えることで、すべての人間活動から生み出される温室効果ガスがオフセットされるわけではありませんが、森林は確かに違いを生み出すのです。地球規模での炭素固定化は、2050年までには累積で100ギガトン(110兆トン)にもなり、予測される化石燃料から出される炭素量の10から20%になると見込まれています。
注
地球のことを「水の惑星」と呼ぶのはよく聞きますが、「森の惑星」としてもっと知られてもよいのではないでしょうか。森林は、地球上でもっとも広がっている自然環境(natural community)で、地球の陸地の31%を占めています。 地球規模で伊カバ、これらの森林は地球の必須生物圏システムにとって不可欠です。地域にとっては、森林は食料、燃料、住居を提供してくれます。
森林は地球上の生命にとって不可欠な存在である
森林とは何でしょうか? 多くの場合、人が森林と聞いて思うのは木々です。木々は森林の中で最大で、もっとも目立つ構成員ですが、木々だけで森林が成り立っているのではありません。森林には他にもさまざまな生き物、低木、ツタ類、香草、シダ類、コケ類その他の植物と、バクテリア、菌類を含む動物が、昆虫からほ乳類、鳥類からは虫類、両生類まで、生きています。この森林生態系の豊かな多様性が、生命体も非生命体も含めて、惑星のいたるところで生命をつなぐことを助けているのです。
森林は、土壌を固定し、流出を防ぐことで流域(watersheds)を保護します。森林から出る葉、小枝、樹皮は、豊かな腐葉土へと腐敗し、植物の栄養となり、保水のためのスポンジとなるのです。森林の植物は太陽のエネルギーを化学エネルギーに転換し、その化学エネルギーは食物連鎖の網を通じて貯えられ、転移していきます。この光合成のプロセスを通して、森林は二酸化炭素を吸収し、酸素を生み出します。さらに、森林は、陰となり、空気を冷やし、地域の気候を緩和し、何百万もの植物や動物の種の生息地(habitat)を提供しているのです。
森林から得られる恩恵は、その中にとどまりません。私たちは森林が水循環を規制し、大気から二酸化炭素を貯え、生物的多様性を支持することに頼っています。しかし、他にも森林の恩恵を受けていることがたくさんあるのです。例えば、北米の農家と林業者は、熱帯の森林で一時期を過ごし、北米にやってくる鳥、コウモリ、昆虫が、穀物を受粉させ、種を運び、有害な生物を餌とすることに、頼っています。
森林は世界の経済にとっても必須です。森林は材木、紙などの木材製品を提供します。また、非木材製品として、食料、ゴム、薬品、油、樹脂、スパイスなどがあります。世界中の諸国にとって森林はとても重要なので、森林製品と森林が提供するサービスの年次価値は、世界のGDP(gross domestic product)の10%、米ドルに換算して4,700,000,000,000ドル、4.7兆ドルと推定されています。(コラム「世界の森林はどこにある?」参照)
コラム「世界の森林はどこにある?」
世界の森林は、この15カ国のリストからもわかるように、地球のさまざまな場所にあります。これらは森林面積の大きい上位の国々です。
位 国 総森林面積(1000ha) 世界の森林に占める率
1 ロシア連邦 809,090.00 20.06
2 ブラジル 519,522.00 12.88
3 カナダ 310,134.00 7.69
4 アメリカ合衆国 304,022.00 7.54
5 中国 206,861.00 5.13
6 コンゴ民主共和国 154,135.00 3.82
7 オーストラリア 149,300.00 3.70
8 インドネシア 94,432.00 2.34
9 スーダン 69,949.00 1.73
10 インド 68,434.00 1.70
11 ペルー 67,992.00 1.69
12 メキシコ 64,802.00 1.61
13 コロンビア 60,499.00 1.50
14 アンゴラ 58,480.00 1.45
15 ボリビア 57,196 1.42
*ちなみに、日本の森林面積は2512万ha(上記と同じ単位にすると25,120.00)
森林は場所によって、大きく異なります。ある森林で優勢な樹種は、気温、土壌、その他の物理的な非生物的な要素と、そこに生きている植物や動物で決まります。
国連FAO食料機構は、森林を月ごとの平均気温を第一基準として、分類しています。
・ 熱帯林(tropical) は異年を通して温かい気温の赤道付近に多く見られます。
・ 亜熱帯林(subtropical) は一年のうち、少なくとも8か月は温かい気温の熱帯の北側および南側に広がっています。
・ 温帯林(temperate) は、劇的な季節の変化がある中緯度地域に見られます。
・ 冷帯林(boreal) は、長く寒い冬と涼しい夏がある南北の高緯度地域に見られます。
アクティビティ3「世界の森林を地図にする」に森林の分類についての情報があります。参考にしてください。
人々と森林: 時代を越えたつながり
人類最古の居住地として知られている時代より前から、人々は森林に頼り、そして森林を変えてきました。今日と同様、初期の狩猟採集社会にとっては森林は食料、燃料、住居のための資源でした。時代とともに、木々はまずは建設資材およびエネルギーを提供し、人々は寒冷な気候に住まい、食べ物を調理し、陶器を焼き、後には金属を溶かし、製品化し、農機具、道具、武器を作るようになりました。「森の旅という本で、著者であるジョン・ペリンは、「木材は、初期の社会の基礎をつくりました。」そして、彼は人々が「骨と石」文化から現在の技術的に進歩した状態まで変化していく上で、中心的な役割をは足していると言います。
17
ギリシアローマ時代の初期の文明からずっと、人々は木材や木炭を使って、調理と暖房だけでなく、ガラスを溶かすための燃料、染料、石けん、建設資材であるブロック、セメント、タイルなど作るのに使ってきました。木材は19世紀までは、橋、建物、車軸、船、箱車、水車、風車を作るために必要不可欠な材料でした。そしてまた、19世紀末から20世紀初頭にかけては、鉄道網の拡大に大きな役割を果たしました。21世紀になったいまでも、木材は、エネルギー資源の第一位なのです。世界で1700万立方メートル以上の木材が燃料として毎年使われており、34カ国の途上国では、必要なエネルギーの70-90%をまかなっています。私たちはいまも建設資材として木材を必要としています。材木、紙、段ボール、その他の製品として世界で毎年1.5百万立方メートルが使われています。
グローバルな関心事
森林は、わたしたちの惑星の生命にとって不可欠な要素であり、人口増の大きな圧力にさらされています。世界のほとんどの国は、森林の問題を環境問題のトップに上げています。いちばんよくある理由は、森林破壊です。森林が永久になくなることです。そして、もう一つは、森林の健康が失われていくことです。森林は、人口増加、気候変動(global climate change)、伝染病などの地球規模での環境問題の要にあるのです。
人口増加
世界の人口は2007年には66億人になり、現在も増え続けています。増加率は減るかもしれませんが、20世紀の間だけでも75%も世界人口は増えたのです。その直接的そして間接的な結果として、20世紀に世界の森林は、半減しました。約300万ヘクタールです。1990年代には、人口増加が急速にすすんだ国の多くで森林破壊が起こりました。地球政策研究所(Earth Policy Institute)のレスター・ブラウンは次のように説明します。「この正比例はわかりやすいものです。人口増加につれてより多くの農地、牧草地、森林製品が必要になるからです。」
消費の増大
森林製品の消費は、ここ30年の間に倍増し、今後も増え続けるようです。
森林破壊
開発行為、都市化、農地への転換などによる森林地の恒久的消失は、森林破壊と呼ばれていて、国際的な関心事となってきています。今日では、森林面積は390億ヘクタールで、南極とグリーンランドを除いた陸地の3分の一近くです。(コラム「世界の森林面積と森林率の変化」参照)これはまだまだ広大な森林であると言えますが、人間が農耕を始めた1万1000年前ぐらいの頃に存在した森林量の半分なのです。
20世紀には重大な森林破壊が起こりました。1990年代に、南米およびアフリカは89百万ヘクタールの森林を失いました。世界全体での森林消失は鈍化しているように見えますが、熱帯地域での森林破壊は加速しており、毎年13百万ヘクタールが失われています。森林は農地に転向された土地でも成長できますし、するでしょう。アジアとヨーロッパでは、森林被覆率の経年変化は、増加に転じています。
p.18
コラム
生物多様性
生物学的多様性、あるいは生物多様性は、有機体のすべてのレベルでの生物学的バラエティのことです。ある種の集合体における遺伝子的バラエティもあれば、生態系的コミュニティにおける生物種の多様性もあります。生物多様性は、そのエコシステムの健全さの指標としても使われます。森林は、すべての陸上生態系の中でも、もっとも大きな生物種の多様性を持っており、陸上生物種の3分の2に上ります。しかしながら、森林が劣化したり、消失してしまうと、多様性もまた失われます。農業や狩猟、木材伐採など人間が引き起こしている圧力は生物種全体としては減っていますが、地域の固有種を脅かし、外来種が入り込みやすい条件を作り出してしまうのです。
外来種による侵略は、地球全体の生物多様性にとっての主要な脅威であり、もちろん、損林そのものにとっても同様です。侵入種の植物や動物は、彼らの増加を阻む自然の天敵が存在しないため、成長や増加が速い傾向があります。例えば、タヒチでは、1937年に、魅力的な景観樹種として導入されたメコニアが土着の森林を置き換えて、70-100もの固有種の植物を危機に陥れてしまいました。
地球気候変動
森林は、地球気候変動とも関わっています。大気中の二酸化炭素の良は1850年から1998年の間に30%増加しました。それはほとんどが人間が化石燃料を燃やした結果なのですが、調理と暖房のために木を燃やした結果でもあります。気候モデルは、二酸化炭素の量がもっと増加すれば、地球の大気を暖め、雨量、海面レベル、気候のパターンを変えると同時に世界の生態系の分布、度合い、構造を変えてしまうと予測しています。
炭素は、大気、海洋、植生、動物、土壌の間を自然の営みとして循環しています。光合成のプロセスを通して、木々は二酸化炭素を大気から吸収し、それを木質細胞に貯えます。森林は、陸上の生態系の中で、もっとも多くの炭素を固定していて、平均して一本の立ち木は、9kgの二酸化炭素を大気から取り込んでいます。地球規模で言えば、森林が炭素を貯えることができる量は、大気中の二酸化炭素のような気体を安定させるのに、決定的な役割を果たしています。
政治的安定
森林やその他の自然資源が希少になったり、激しく傷つけられたりすると、政治的社会的不安定が起こります。そのために、政治的危機や時には軍事紛争にまで発展することもあるのです。例えば、ハイチでは、無規制な木材伐採、農地への転換、燃料としての薪利用が行われた結果、急激に森林が減少しました。1920年代のハイチは森で覆われていました。60%以上の陸地が森だったのです。1999年までに、それがたった2%だけになってしまったのです。環境の質が悪化したことで政治的に不安定になり、大規模な移民が起こりました。
伝染病
人間の健康は森林の健康とつながっています。例えば、ペルーの熱帯雨林の奥深くで、人々はマラリアにかかるようになりました。この病気はつい最近まで、まったく知られていなかったものです。科学者たちは、この病気の広がりは、森林破壊の結果であることを発見しました。明らかに、森林が切り払われ、野生動物が排除されてしまえば、マラリアの病原菌のキャリアである蚊は、あたらしい宿主を探す必要があります。それが人間だったのです。ほとんどのマラリアは、熱帯が原産ですが、米国およびヨーロッパでは「空港マラリア」が着実に増加しつつあります。それは、熱帯になど行ったこともない人々が、行った人と接触することによって広がっているのです。
世界の飢餓を救う
世界の農業者たちは、共通の課題に直面しています。土地を劣化させずに、より多くの人間に食料を供給するにはどうすればいいという問題です。世界中、そして、歴史上のいかなる時でも、この食料供給のニーズが、森林を切り倒し、焼き払い、農地を増やすことをしてきたのです。今日の森林破壊の原因の一つは、生存(subsistence)農業という、自分たちの家族を養うための農業なのです。
先住民の人々と文化
世界の先住民の人々の多くは、森林を利用し、管理する長い歴史を持っています。そのために、森林の質が低下したり、森林がなくなったりすると、大古な影響を受けるのです。現在および過去の森林政策は、しばしば地域の人々を森林計画や保全から除外してきました。その結果、これらの人々の生命と生存の危機と森林の減少につながったのです。
森林破壊と森林の質の低下に直面して、多くの先住民の共同体が森林の保護者としての役割を取り戻そうとしています。世界のあちこちで、先住民の人々は森林破壊につながる急激な経済発展を止めようとしています。同時に、先住民の人々の伝統的な知恵は、ますます持続可能な森林管理(sustainable forest management)のために重要であることが理解されてきているのです。
地球から地域のつながりまで
地球希望での世界の森林の広がりと健康は、地域での人間の活動に影響されています。農業、牧畜、薪の採集、商業的木材伐採、原生森林を商品作物としての人工林に植え替える、都市化の進行、新たな居住地の開発、森林管理の公有地および私有地における実践、道路建設、水力発電のための溜め池などが、特定の森林地に大きな影響を与えることでしょう。確かに地域での人間活動が森林に影響するとは言うものの、これらの活動がどれぐらいの頻度で起こるかは、国際的、国内的なレベルにおける経済、政治、社会的な力によって決まります。
森林に対する地球規模の対応
地球規模では、森林が直面する諸課題に応えようと努力が続いています。1992年にリオデジャネイロで開かれた国連地球サミットには、102カ国の代表が集まり、世界の森林の大切さを確認する二つの国際条約を採択しました。森林原則声明は、森林とその持続可能性について初めて合意されたものですし、アジェンダ21は、持続可能性な開発のための国際的な行動計画です。(これらの文章は、国連のウェブサイトで見ることができます。)
リオデジャネイロでの会合以来、持続可能な森林管理にむけた進歩をチェックするために国際的なプログラムが始まりました。(コラム「世界の森林を管理する」参照) これらのプログラムの中で、もっとも総合的で、長期的な国際的なイニシャティブには100カ国以上が関わっています。このイニシャティブは規準(criteria)あるいは持続可能な森林管理の条件のカテゴリー、指標(indicator)、すなわたこれらの規準を測ることのできるサインなどを定義しています。これらのイニシャティブを承認することで、それぞれの国は、国内の森林すべてを持続可能なように管理することをはっきりと示したのです。
世界の森林に対する地球規模の関心が広がる中で、国際的な協力によって森林の使われ方に大きな影響が出てきています。例えば、二酸化炭素とその他の「温暖化ガス」を減らそうとする国際的な協定は米国およびラテンアメリカにおける私有地の地主たちに、彼らの農地を生産森林にして、炭素を貯めようとする経済的な動機づけを与えています。(コラム「炭素を固定する」参照)
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世界の森林を管理する
歴史以前の時代から、人間は森林を管理してきました。もっとも単純なやり方としては、食料や燃料、住居などの特定のニーズにあった木々の成長を促進するというものです。望ましい樹種を植林したり、間伐などの技術で特定の木に光がよくあたるようにすることで、成長を促進したりするのです。同じように、望ましくない樹種を、焼いたり、切り倒したり、毒で痛めたりすることで、取り除くことができます。
森林を、人間の干渉のスペクトラム上に捉えることもできます。一方の端が初期林primary forestsです。初期林とは、人間が手をつけていない森林共生体で、ほぼ原生種で構成され、人間の活動に影響されていないか、影響されているとしても原住している人々による狩猟や採集だけに限られている森林のことです。もう一方の端には、商品作物として植えられ、育てられ、収穫される植林でできたプランテーションがあります。
このスペクトラムには、人々のさまざまなニーズを満たすために操作され、管理されている多様な森林が含まれます。その中には、他の森林よりしっかりと管理され、優先順位の高い役割にみあうように操作されている森林もあります。農的林業agroforestryでは耕作地や牧草地が森林地の間にあります。国立公園や自然保護区のように保護されたエリアの森林ですら、野火の危険を最小限にしたり、木の伝染病が広がるのを防いだり、地元の人々が生存可能なレベルで果実や木の実、その他の産物を収穫することを許す程度の管理が行われています。
1990年代には、人々は、持続可能な森林管理という概念を受入れ始めました。持続可能ということは、現在の世代だけでなく、未来の世代のニーズも満たすように、森林を管理するということです。簡単なように見えて、持続可能性は、経済、環境、社会などの要因がかかわる複雑な目標なのです。それは、人間の社会のための長期的な利益を確保し、生態系的な多様性と森林の活力を維持することを意味しています。また、森林に関わるすべての関係者が遵守すること、森林の現状と未来の姿を正確に評価することが必要です。持続可能な森林管理についての国際的なイニシャティブについてはアクティビティ6「持続可能性を求めて:グローバルな責任」を参考にしてください。
森林認証
認証というのは、森林がよく管理されていることを証明し、そのことを認定するプログラムを通して宣言しているプロセスを指す一般的な用語です。森林および製品の認証は、責任ある林業を推進するためのガイドラインと構造、いくつかの水準などと、そのことが守られているかいなかを独立した第三者機関を通して保証するために作られました。認証は、消費者や顧客からの「グリーンな」製品を購入したいという、市場の需要を満たすためのものでもあります。世界にはさまざまな森林認証制度があり、それぞれは少しずつ焦点が異なっています。土地所有のあり方、政府の構造、森林所有者の価値観、森林タイプの違いなどの特徴を反映しているからです。
これらの水準は、さまざまな問題に対する評価可能な必要条件、具体的には、生態系的あるいは文化的に特別な価値のある場所を保全する、絶滅のリスクにある生物種を守る、野生生物の生息地を守る、持続可能な収穫のレベルはどれぐらいか、再生のスピードをあげるなど、さまざまな側面についての規準を含むことで、経済的環境的社会的な価値観をすすめます。認証について詳しくはアクティビティ6を見てください。
世界の森林のための時間
国際的なイニシャティブが、完全に実行されたとしても、森林破壊と消失を完全に止めることはできません。多くの国では、森林製品によって経済成長をめざしていますし、多くの個人は、生きるために森林を伐採し、更地にする以外の選択肢がほとんどないのです。
それでも、これらの対策は世界の残された森林に対する圧力を下げると期待されています。国連FAO世界食料機構によると、すすんではいるものの、その道は着実なものではないようです。地域によっては、特に先進国、温帯地方では持続可能な森林管理はずいぶんとすすんできて、森林政策や法律が改められ、森林関連機関が強化されています。しかしながら、発展途上の経済地域や熱帯の生態系においては、森林はいまも減少しています。これらの国の多くは、その傾向を反転させるだけの強力な機構をもとうにも財源がないのです。
FAOは問います。「世界はますます複雑な課題に直面しています。持続可能な森林経営と平等な経済発展を両方ともに達成することはできるのでしょうか。」と。これは、わたしたちがそれぞれの地域で、そして地球レベルで直面していることなのです。世界の森林を保全することは、すべての生き物、もちろん人間も含めて、すべての生き物の未来の健康がかかっているのです。
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コラム「炭素を固定する」
前世紀に、化石燃料を燃やす、森林を壊す、草地にしてしまうなどの人間の活動と、その他の土地利用の変化が、大気中の二酸化炭素を大幅に増やしました。ほとんどの科学者は、その急速な大気中の二酸化炭素の増加が地球規模の気候に影響すると考えています。
この傾向を変えるために、大気中の炭素を固定することによって、二酸化炭素を減少させようと人々は考えました。炭素の固定というのは、自然のプロセスおよび産業的な技術によるプロセスで大気中の炭素をつかまえ、生物的貯留庫(緑食植物や森林)あるいは非生物的貯留庫(土壌、石油や天然ガスの炭坑跡、塩水帯層)に貯めておくことです。
木々は木質の中に大量の炭素を貯めているので、森林は炭素を固定するための有望なメカニズムの一つです。光合成を行う植物として、木々は、太陽のエネルギーを使って空気から二酸化炭素を吸収し、それを水と合わせて当分とその他の有機化合物を作り出します。他の植物と比較して、木は炭素の長期的な保存に適しています。なぜなら、木の幹、枝、根は多くの木質を含むからです。木材と将来の木材製品は、それらが焼かれるかあるいは腐敗分解することで炭素を放出するまで、炭素を固定し続けるのです。
炭素の保存と固定は、永久にとまでは言いませんが、他の道を探るのに必要な時間を与えてくれるかもしれません。木を植えることで、すべての人間活動から生み出される温室効果ガスがオフセットされるわけではありませんが、森林は確かに違いを生み出すのです。地球規模での炭素固定化は、2050年までには累積で100ギガトン(110兆トン)にもなり、予測される化石燃料から出される炭素量の10から20%になると見込まれています。
注