14話『バイバイ』 | 真実のノート

14話『バイバイ』

安藤さんと 別れてから

(バタンッ!!)

玄関のドアを閉めると

私は ドアにもたれ、ズルズルと 腰を落として座り込んだ。

安藤さんの、去って行く
車のエンジン音が 聞こえる。

あの人は 最後迄 優しい人だった。

あの人は 私を 本当に 想ってくれた。



帰り際に 安藤さんは、私に言った。

「 本当に 愛する人と 手を繋いで 同じ歩幅で 歩く事は 奇跡だって…ERiが、コンサートで、最後に言ってた言葉…あれは、本当だと思うよ…」


「佐奈には その奇跡…いつか、おこして欲しい… 幸せになって欲しいと 思うよ…」

安藤さんは、そう言って、微笑んだ。




(ごめんなさい…安藤さん)

(貴方を 愛せ無くて…)


うつ向いた 私の瞳からは涙が 溢れ そして零れ落ちた。






月日は 流れ… 後期単位試験が 近ずく…


又、勉強づけの夜が 始まった。



私は 何も考えず 一心不乱に 勉強机に 向かう


奴から… 届けられる
「返信は 要らないよ
頑張れ!!」メールは…毎年私を、励ましてくれる

夜中に、わざわざ起きて

「一息ついたら?」

そう言って テーブルの上に置かれた 紅茶は ママの優しさと共に、私に 癒しを くれた。



そして、12月…私と美紀は
後期単位試験を 見事パスした。


いよいよ… 最後の難関

国家試験が 私達を待っている
明けても暮れても勉強の日々…だけど

「やれる事は 全て やりつくした…」

そう思い 国家試験に挑みたい!!

そんな信念が、今の私の全てを、支配していた。




そして 2月

国家試験に 私と美紀は
挑んだ。


朝、家を出る時 私は ピュアを 抱き締め


「必ず、合格して 看護師になるよ!」

そう、亜弥に約束した


心配そうに オロオロする 母を
逆に 励まし 家を出ると
携帯の受信音が 鳴った

奴からだ!

「頑張れよ!」

(クスッ)

ただ、それだけの短い言葉

「うん、頑張るよ!」

そう、打ち込み メールを奴に 返信すると 何故か
温かい物が 心に 流れ込み 私は 携帯電話を 胸に、抱き締めた。

奴からの、言葉は もはや私にとって ただの言葉では、無かった。

どんな時も 奴は メールと言う形で 私を励まし
そして、実体は無くても、側に居てくれる


言葉の重みを 奴との4年に渡る メールの中で 今、私は 実感していた。


この国家試験に パスして 看護師になれたら…
奴に言いたい事がある

ずっと、思ってた
でも 言えなかった。
今の私の気持ちを 実体の無い 奴に 伝えよう

私の事をもっと 知って欲しいと…
そして、貴方の事を 知りたいと…


私は、貴方に 逢いたい そして、今 沸き上がる この感情が 何なのか?
知りたい!
確かめたい!
雲1つ無い、空を見上げ…

(パタンッ)

私は 携帯を 閉じた。











そして・・



3月


又 今年も 桜は 見事に咲き誇る…


「わぁ~ 桜が 綺麗だね!!」

看護学校の卒業式の 帰り道 美紀が ふと 目に停まった 公園の桜を 眩しそうに眺めた。

「本当だ!!」

私は そう言って 目を細め咲き誇る…桃色の花を 見上げた。



(…♪)


奴から…メールが 届く


「卒業おめでとう!新まい看護師さん」


私は 微笑みながら


「はい!新まい看護師です 頑張ります!」

そう 奴に 返信し


ピースサインをした。