13話『失意のコンサート』 | 真実のノート

13話『失意のコンサート』

♪蜃気楼の様な人だから
幻影のように消えてゆく
最初から 分かっていた

この恋は 終わる運命だと
心に 想いが 宿る時

それは…切なく…愛しく

同じ 空の下で 笑った日も
月の下で 泣いた夜も

目まぐるしい…現実の中
日々…飲み込まれてゆく

何も…知らなくていい

ただ…この空の下にいて

何も…望んでいないよ

貴方と 繋がる以外は…




(ERiが 歌いながら… 泣いていた…)


溢れる涙を 拭う事なく

ERiは 歌い続ける…



♪ 心が どしゃ降りだった
雨の日に…

貴方は 雨雲の中から

光をくれた…

契れた雲の間から 差し込
光は…心の水溜まりを

優しく 照らす…

貴方が 居なければ… 微笑
む事も 無かった。




何も…知らなくていい

ただ…この空の下にいて
何も望んでいないよ

貴方と繋がる以外は…


愛が…心に 宿る時

それは…儚く…苦しく

幻影を 胸に秘め 眠る夜
貴方に囁く…

(愛しています…)


何も…知らなくていい

ただ…この空の下にいて
何も望んでいないよ


貴方が この空の下で


微笑むのなら… ♪



(ERi…)


知らず知らずの 内に

私の瞳からも 熱いものが
頬を 伝わり 零れ 落ちていた。



「ともえ!泣くなやぁ~」

ふと…左側から そんな声が、聞こえて…

見ると?

隣の女性が 肩を 震わせ
泣いていた…

その向こう側の男が 困り顔で

女性の肩を 抱く…

「ともえは…ホンマ 泣き虫やんなぁ~」

関西弁なまりの男は…そう言って 女性の涙を 指で 拭った


夫婦だろうか?

恋人だろうか?

私は 思わず 目を 細め

また、前を向く…


曲が 終わり、ERiは

「愛は いつか 色あせ 形を 変えて行く 幻影の様なもの… 終わる運命の中に有ります。 でも…その先には真実と言う 永遠が 待っている 真実は 愛の中にこそ眠っていると…私は 思います。 例えば…命が つきても… 真実は 永遠に 心の中に 輝き続ける… 私もこの先… 真実を求めて 人を 愛するでしょう… 貴方の 隣にいる人が もし、貴方の大切な 人なら… 今はまず、心を繋ぎ… 身体で感じれる 距離にいるなら手を繋ぎましょう… 愛する人と 手を繋ぎ 同じ 歩幅で 歩けると言う事は
もはや…奇跡に 近い事なんですから…」


ERiは そう言い残すと


静かに…頭を 下げながら

ゆっくりと ステージの中央から

下に 消えて行った。





コンサートが 終わった後も

余韻は 残り

私は ERiの言葉の中に

誠と奴 両方を 思い出していた…



誠は 私に

もし、離れる時が 来たら その先の私の事を 何も知らなくても 笑っていて欲しい…

そう思うんだ…と 言っていた


そして


奴は 自分の事を 教えようと した私に
知らなくていい!

そう言った…



何故か!?

奴と誠が 時々 私の中で
だぶって 見える時が ある


気のせい…なのかも知れない



佐奈… 貴方の心は 今 誰と 繋ぎたいと思って いるの?


自分に 問いかけてみる


(分からない…や…)


私は そう呟くと すっかり暗くなった 夜空を 見上げた。


歩道橋は コンサートから 帰る 人の波で 埋まっていた…


さっきから…のろのろと 歩みを進める 私達…

ふと…気がつくと!?
美紀がいつの間にか 私の横を歩いている

そして…


「さっきは 訳分かんない事言って ごめんね…」


そう 呟いた。


「ううん…私の方こそ…いつまでも心配かけてごめん…」
私は…美紀にそう言って…謝った。
(美紀は 誠を いつまでも引きずる 私を 心配して この ダフルデートに 誘ってくれたんだ…)

そんな、美紀の気持ち…
本当は 最初から 分かってた


「この 歩道橋を 下ると 直ぐ下に 駐車場が あるよ!」


前を歩く…五嶋さんが そう言って 私達に振り返り笑顔を見せる

安藤さんも そんな五嶋さんの横で 私に振り返り 優しく


「後、もう少しだからね 佐奈ちゃん…」


そう言って 微笑んだ。