7話『宏樹』 | 真実のノート

7話『宏樹』

突然の告白に…

私は少し意地悪そうに笑い
「あの女と…切れたの?」
と…聞き返しました。

宏樹は更に私の両手を強く握り…

「もう…とっくに別れたよ…バカな事したと思ってる一番大切な物が何なのか?あの時は…分からなかったんだ…すまないと…思ってる…」


そう言うと…宏樹は…

私の両手を強く握り締めたまま…

うつ向き…

涙の粒を…1粒 2粒と…

アスファルトの上にこぼしてゆきます…

私は…そんな宏樹を、冷酷にも、第3者の目で見ていました。

離婚直後の悲しみは、それほど強く、私を苦しめたのです。



私は、強く捕まれた両手を静かに外し…


「貴方と私は、ずっと変わらない… まなと、りんのパパとママよ… 」

と言って、笑いかけました。


そして、何も言わず…うつむいたままの宏樹を背に
私は…止まったメリーゴーランドから、駆け足で降りて来るまなと、りんを 両手で抱き寄せ…

「もうそろそろ帰ろう…夕方だから…」

と言って、笑いかけ…

うつ向いたままの宏樹の セーターの首を 後ろから グイッと引き、引きずる様に遊園地、を後にしました。