20代で就職したての頃

 

私は本気で悩んでいた。

 

新卒で写真館に勤めていた私は結婚式のカメラマンの

アシスタントをしていた。

 

会社員なので仕方ないことなのだけれど

入社して早々、部署異動があり

仕事内容が撮影アシスタントから販売に変わる。

 

理由は販売の担当だった人が辞めて

ちょうどそのときまだ私は新人だったので

そっちにいってもらおう

 

と、そんなことだった。

 

半年間、研修という名のアルバイトでカメラマンのアシスタントをして

毎日怒られまくっていた私は

 

え?解放されるの?

 

とは思わなかった。

 

もったいないと思ったのだ。

 

今まで散々怒られて、やっと少し覚えてきたこともあるのに

急にまたゼロから!?

 

とこんな感じだ。

 

なんとも腑に落ちない。

 

しかしどうすることもできなかったので(当たり前だ)

そのままあっさりと異動した。

 

ここから私の振り回され生活が始まるのだけど。

 

そのとき私は残念というか、やる気を折られたような気持ちで

なんともやるせない感じの毎日を過ごしていたのだけど

 

まだ実家から職場に通っていた私は

帰り道、駅のホームでいっちょまえにうなだれていた。

 

するとさっき別れたばかりの撮影側の先輩から電話がかかってきた。

 

「おつかれさまです」

 

「おー、おつかれ」

 

「何かありましたか?」

 

「お前、余計なことを考えるな。今は目の前に撃たれた球をとにかく打ち返せ」

 

そう言われて先輩からの電話は切れた。

 

簡単な言葉だけど

私は素直だった。

 

そうか、今は打ち返すのか。

やれって言われたら、やるのか。

それが社会人か。

 

そうやって急に霧が晴れた私は

今度は必死に販売のことを勉強していくことになる。

 

あのときの先輩はいくつだったんだろう。

 

28歳くらいかな。

 

今の私よりもずっと年下。

 

誰かの背中を押したり、元気をわけたり

自分はどれだけそれができただろう。

 

全然覚えてないけど

少しはそんなこともしてきたとは思う。

 

それが人生の価値だな。

絶対そうだ。

 

だけど、待って。

 

言われたことは覚えていても

言ったことは全く覚えてない。

 

あれ?私誰の背中もおしてきてないのかしら?