人間には、どんな力があるのだろう。

生まれてから、死ぬまでに人間が発揮する力というのは、持って生まれた能力の半分にも満たないという。


大切なモノを失ったら・・喪失感や絶望から逃れるための力というのは一体どうすれば、発揮できるのだろう。

そんな能力は人間には、備わってはいないのだろうか・・?

手探りで闇を彷徨うのは、思ったよりも苦しいことだ。

闇にのまれる様な、取り込まれてしまう様なそんな気がする。


どんな時だって、君を思い出せる。小さな声で君の名前を呼んだって、君がどんなに小さな声で僕を呼んだって、聞こえる距離に僕たちはいた。

いつだって君は僕の隣に居て、僕の心を見透かす様な・・いや、もっと遠くを見る様なそんな眼をして僕の傍で笑っていた。

君には分かっていたのか?君が僕よりもずっと早く逝ってしまう事も、君を失った僕が、どんな風に変わってしまうのかも・・。


アスファルトを撃ちつける様な激しい雨の音で眼が覚めた。外はどす黒い雲に覆われていて、まだ夜が明けきっていないようなぼんやりとした暗さで、街全体を包んでいる。

湿気を含んで重くなった布団が、僕の憂鬱な気持ちに拍車をかけて圧し掛かってくる。

朝は嫌いだ。全てをリセットするかのように、何事もなくやってくる。

だが、朝を迎えた街はどんよりとしていてもにわかに活気付いている様にもみえる。

起き上がって外をぼんやりと見つめて、ダイニングに向かう。部屋の中まで湿気でじっとりとしている。

泥のようなコーヒーを飲みながら、夢の続きを思い出そうとしてみる。

途中で終わってしまった、愛しい人を探す夢。探している途中で、闇にのまれてしまう。

何度同じ夢をみれば、憂鬱な自分から、解放されるのだろうか・・。