こんにちはタモギ博士です。
しばらく更新できず申し訳ございません。
気を取り直して論文紹介をしていきます。
さて今回はレスキュー隊としてのエルゴチオネイン第三弾をご紹介します。
この論文もまたしてもシンガポール国立学大学の研究です。
今回は肝臓でのエルゴチオネインのレスキュー隊としての働きです。
論文の趣旨から簡単に説明すると、コレステロールたっぷりの食事を与えられた豚の肝臓は脂肪肝となり、肝機能が落ちますが、なぜか活性酸素による障害だけは起こっていません。その理由を解明しようとした実験です。大変興味深い実験も多いので、ひとつずつご紹介していきます。
まず脂肪肝が肝臓に与える影響を見ています。
Fig1
【肝臓のダメージマーカーALTやGGT】
(A)(B)では肝臓のダメージマーカーALTやGGTを追っています。
高カロリー・中カロリー食を与えたものは、優位に上昇していることが分かります。
【コレステロール量】
(C)では肝臓のコレステロール量について調べています。
高カロリー・中カロリー食を与えたものは肝臓のコレステロール量が上昇しています。
【肝臓の重量】
(D)では、肝臓の重量を追っています。2ヶ月後までは差異はありませんが、6ヶ月後には高カロリー・中カロリー食を与えたものは優位に上昇しています。(でもコレステロール量は2ヶ月目でも優位に上昇しているのに、重量には反映されていないのか少し疑問を残しますが)
つまり高レステロールの食事を与えると、豚の肝臓は脂肪肝となり、肝臓は肥大し、ダメージが増しています。
次に肝臓内のエルゴチオネイン量を見ています。
Fig2
【肝臓内のエルゴチオネイン量】
(A)では肝臓内のエルゴチオネイン量を見ています。
明らかにカロリーの高い食事を与えると、エルゴチオネイン量が増えることが分かります。
(しかし6ヶ月目では高カロリー・中カロリー食ではエルゴチオネイン量が逆転しています。これはすでにエルゴチオネインの肝臓含有量が5ng/mg Liver tissueあたりで天井なのか。高コレステロールではすでに肝臓の破壊が起こっており、エルゴチオネインを蓄えられないのか?妄想は膨らみます)
【肝臓内のコレステロール量とエルゴチオネイン量の相関性】
(B)では先ほどのコレステロール量とエルゴチオネイン量の相関性を見ています。これは先の実験からも明らかですから当然相関しています。
【餌中のエルゴチオネイン量】
(C)では餌中のエルゴチオネイン量の比較をしています。高コレステロールの餌にエルゴチオネインが多く含まれていたら元も子も無いですからね。当然その値には変化はありません。
次に肝臓内の鉄分量を見ています。
一般的にフェリチンや鉄の肝臓蓄積はインスリン抵抗性を増し、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)や非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の危険性を増します。
Fig3
【肝臓内の鉄分量】
(A)では肝臓内の鉄分量を見ています。やはり言われている通り脂肪肝になると肝臓内の鉄分が溜まります。
【肝臓内のエルゴチオネインと鉄の相関性】
(B)では肝臓内のエルゴチオネインと鉄の相関性について見ています。
こちらもしっかりと相関しています。
続いて酸化ストレスにより肝臓はどれだけダメージを受けているかを見ています。
前々回血管内皮細胞の実験を振り返れば、コレステロール量が増えれば当然酸化ダメージが増えていそうに思えますが、実際のところどうでしょうか。
さて次に活性酸素の影響を見たいと思いますが、ボリュームが多いので今回はここまでとしましょう。
それではまた来週!!