こんにちはタモギ博士です。

 

さて今週に引き続き、

シンガポール国立大学の論文を見ていきたいと思います。

 

Int J Mol Sci. 2023 Mar 13;24(6):5498.

 

Fig5はミトコンドリア膜電位変化を見て、ミトコンドリアの活性を見ています。

 

これも想像通りですが、7KCがあるとミトコンドリアの活性は下がります。

エルゴチオネイン存在下では、ダメージは軽減されますが、エルゴチオネイン阻害剤VHCLが加わると、ダメージは軽減されないことが分かります。

 

 

次は発光方法を変えたTMRMで見ていますが、これも同様の結果が見てとれます。

 

この実験からは、エルゴチネイン単体ではミトコンドリアの活性化には効果はありませんが、7KCからの攻撃を受けると、エルゴチオネインが立ちはだかることが分かります。まさにエルゴチオネインはミトコンドリアの番人でもあるんですね。

 

続いてミトコンドリア関連ですが、別の角度から見ています。

ミトコンドリアがダメージを受ければ、ATPの生成が出来ず、ATP量が減ってしまいますが、やはり7KCだけだとダメージが強く、エルゴチオネインがあるとそのダメージは軽減されます。また先ほど同様VHCLがあるとダメージを回避できません。

 

つづいて次もミトコンドリアを別の角度から見ています。

ミトコンドリアのDNAを保護する役割があるTFAM、NRF-1というたんぱく質、さらに細胞全体を保護する役目のあるNrf2というたんぱく質のmRNAの発現量を調べています。

やはりどれも7KCの攻撃を受けるとすぐに発動することが分かります。

ただしエルゴチオネインが存在しているとTFAMとNrf2は発現量が控えられるのに対し、NRF-1は関係なく発現しています。これはいろいろな推測が立ちますが、TFAMとNrf2はエルゴチオネインと連携を取りながら働くのに対し、NRF-1はエルゴチオネインとは全く別の系で働いてると言えるのではないでしょうか。

 

最後にFig8です。

ここでは炎症について見ています。7KCは血管内皮細胞で炎症を起こすわけですが、エルゴチオネインがそれをどこまで抑え込めるのでしょうか。

炎症を引き起こすサイトカインIL-1β、IL-6、IL-8は7KCが加わると一気に増えますが、エルゴチオネインがあるとそれが抑えられています。同時に、VHCL存在下ではこれらサイトカインの分泌量は高いままとなります。

 

ふっ~長かったですね(笑)

 

どれも大切そうだったので省略せずにすべて載せてしまいました。

 

つまり循環器系にもエルゴチオネインは効くということがよく分かった論文でした。

 

せっかくですので、来週はこの論文のまとめ記事を作りたいと思います。

 

それではまた来週!!