今日はラスベガスとカリフォルニアを結ぶ高速鉄道計画の話を。
ラスベガスには年間38百万人の観光客が訪れるのですが、その1/3はカリフォルニアからのお客さんで、その大半が高速道路(I-15)を使って来ると言われています。従い、金曜日の午後ともなると、カリフォルニアからラスベガスに向かうI-15は混雑します。(ちなみに、先週金曜夕方にGrand Canyonに向かった時も、Arizonaからフーバーダム経由ラスベガスに入る93号もすごく混雑してました。)
ということで、ラスベガスとカリフォルニアの間に高速鉄道を通そうという計画はずいぶん昔からあり、現在は二つの計画が競いあっている状況です。
一つはDesert Xpress という民間資本の計画。従来技術を使った高速鉄道で時速150マイル。予想図はこんな感じです。プロジェクト費用は40億ドル(4千億円)で、現在環境影響評価を実施中、早ければ来年中に着工し、2014年からの商用運転を目指すという計画です。
ここまではいいですが、この計画がいま一つなのは運行区間。カリフォルニアはカリフォルニアでもVictorville-Las Vegas間なのです。Victorvilleとロスの間にはCajon峠があって、ここを通すのが難しく、正直、中途半端なVictorville-Las Vegas間(184マイル)という計画になってしまったわけです。例えばロスの人がLas Vegasに来るとして、まずVictorvilleまでわざわざ車で1時間くらいかけて来て、そこから鉄道に乗り換え85分でラスベガスに到着(鉄道料金は50ドル台半ば)、っていうことですが、どこまで利用者が増えるのか、やや疑問符です。
続きまして、もう一つの計画。こちらは90年代から検討されてきたリニアモーターカーを通そうという計画。上のDesert Xpressとは違い、こちらはLas Vegas-Anaheimの269マイル。時速は最高300マイルで、リニアモーターカーならCajon峠も越えられるということのようです。こちらは第一期としてLas Vegas-Primm間の建設検討費用として、2005年に連邦政府の補助金が45百万ドル(45億円)ついています。仮に敷設されれば、今なら40分くらいかかるPrimmまで僅か12分で到着してしまいます。あそこにホテルを持っているTerrible's とかは大喜びでしょう。
ここまではいいのですが、問題はまずお金。こちらは豪華リニアモーターカーなので建設資金が120億ドル(1兆2千億円)以上かかる予定で、場合によっては400億ドル(4兆円)かかるという試算もあるくらい。もちろん民間の資金ではとても賄いきれる金額規模ではありません。オバマ政権は景気刺激策&環境対策の一つとして、全米の高速鉄道計画に連邦政府から80億ドル(8千億円)の補助金を出す方針ですが、これが全部来ても足りないくらいの金額規模です。果たして、利用者の大半がレジャー目的のLas Vegas-Anaheim間を85分で結ぶ為だけに、巨額の公的資金を使う意味があるのかという議論は当然出てくるわけです。
もうひとつの問題としては技術。リニアモーターカーは中国上海で商用運転されていますが、あちらはわずか19マイル。かたや、こちらは269マイル。しかも、峠あり、強風、砂埃、灼熱ありの過酷な自然環境です。リニアモーターカーの壮大な実験をやるのにはあまりにお金がかかりすぎと言えます。ちなみに、去年に上海旅行に行った時に、リニアモーターカーに乗りましたが、確かに鉄道にはないスムースさはありましたが、何となくあれに85分も乗ってるのもちょっと気持ち悪いような気もします。どうせ浮くなら、素直に飛行機乗ってた方がしっくりきます。
ということで両計画とも一長一短があります。ちなみに、従来、リニアモーターカー計画を押していたネバダ州選出の上院多数党院内総務(上院の民主党代表みたいなもの)であるHarry Reid議員は、今月、一転、Desert Xpress支持に鞍替えし、同計画が政治的に弾みを得た格好です。同議員は、過去リニアモーターカー計画の上述45百万ドルの補助金に奔走したわけですが、2010年の選挙を控え、実現可能性の高そうなDesert Xpress支持に乗り換え、選挙までに雇用など有権者に訴える何か形を残そうとしたと考えられます。
いずれにしろ開通はまだ先の話ではありますが、観光が生命線のラスベガスにとっては、少しでもお客さんが訪れやすくなってくれるのはありがたいことで、いずれかの計画が今後も前向きに進んでくれることを期待したいと思います。