TOVアレシュでアナ/と雪の/女王 パロ。
続き物になりそうな予感。とりあえず書きたいところを。
「ねえねえ、アレクセイ!おきて!」
「……うるさい。何時だと思っているの?僕は眠いんだ」
天蓋付きのベッドで寝ていた少年アレクセイは、自分に馬乗りしているまだ舌足らずな少年をベッド下へと払い落とした。
「ぶうーだ。アレクセイのいけず。……あっ!」
ベッド上の少年より幼い彼は、ほっぺたを膨らませたあと何かを思いついてベッドによじ登って、アレクセイの耳元に小声で言った。
「ねえ、ゆきだるまをつくらない?」
ベッドの中の眠れる王子は、その言葉に子どもらしくいたずらに笑った。
シュヴァーンと雪の王
城の大広間に鳴り響く子どもたちの声は、二つ。
この国、アレンデール王国の王子、アレクセイ。
王家と親しい関係を持つ貴族の子で王子の幼なじみ、ダミュロン。
王子アレクセイにはとある秘密があった。
「ねえ、ねえ、はやくまほうをみせて!」
「いいぞ!」
アレクセイの閉じた掌の内側から、青くて白い光が漏れでた。
その手を勢い良く上に振り上げる。
そうすると、辺りに光が舞った。
そう、雪だ。
「わあ!つぎはゆきだるま!ゆきだるまだよ!はやくはやく!」
「いい子にしないと、雪だるまは作らないよ?」
「……はい!だみゅろんは、いいこです!」
ぴしっときょうつけ、の姿勢をとるダミュロン。
「それでこそ僕の従者の姿だ!さあ、作るぞ!」
演技かかったように声をあげて、アレクセイは雪だるまを作りだした。
その雪だるまの姿は、ダミュロンに瓜二つだった。
「すごいすごい、アレクセイ!ぼくそっくり!なんてなまえ?」
「やあ、俺はシュヴァーン!ハグしてよ!」
アレクセイは雪だるま---シュヴァーンの後ろにまわって、声を裏返して道化のように振る舞った。
「あっはは!ぼくそんなこといわない!ふふふ!」
きゃっきゃっと広間で遊ぶアレクセイとシュヴァーン。
どんどん楽しくなってアレクセイは雪山や雪の滑り台を作った。
いくつも作り出された雪山を飛び移るダミュロン。
「ぼくはとりだ!どこまでもとべるんだよ~!アレクセイもっともっと!わあい!」
「ダミュロン、もっとゆっくり飛んで!」
次々と鳥のように飛び移るダミュロンの足元にはもう雪山はない。
落ちないようにアレクセイは焦りながら落下点になるであろう場所に雪山を作る。
「ダミュロン!止まって!」
アレクセイの魔法はもうダミュロンに追いつけなくて、ついに、
「ああっ!ダミュロン!」
焦りすぎてアレクセイは魔法をダミュロンに当ててしまった。
アレクセイは駆け寄ってダミュロンを抱き起こした。
「ダミュロン!ダミュロン!……っ、冷たい」
ダミュロンの心臓のある場所から氷が突き出ていた。
心臓に刺さった氷から、どんどん身体中に氷が広がっていく。
「やだやだ!やだよダミュロン!起きて!!」
「何の騒ぎだ!」
大広間の扉が大きな音と共に開かれた。
「父上!母上!ダミュロンが、冷たくなって!ダミュロンが!!」
顔をしかめてアレクセイの赤い目からぼろぼろと涙が溢れる。
「これは……!早くダミュロンを暖かい場所に!」
「はい!アレクセイ、あなたも来なさい!」
父、アレンデール国王の腕の中のダミュロンは、子どもらしからぬ紫の唇をしていて、氷の彫像のように冷えきっていた。
その姿はまるで、先ほどアレクセイの作った雪だるまのようで。まるで、屍のようで。
「……アレクセイには酷すぎるわ。こんなの、あの子には」
「わかっている」
ダミュロンは死んだ。
どんなに暖めても、身体に刺さった氷が溶けることもなく、ダミュロンの心臓は動きを止めた。
為す術もなかったのだ。
「アレクセイ、入りなさい」
勢い良くアレクセイは部屋の中に入ると、間髪入れずに、
「ダミュロンは!?」
と両親に訴えでた。
「アレクセイ、こちらに来なさい」
王妃が呼びかける。
王妃に膝枕をしているダミュロンは、眠っているようにしか見えなかった。
「聞きなさい。これからダミュロンを目覚めさせる。さあアレクセイ、目を瞑りなさい」
王はアレクセイの目蓋に指をあて閉じさせる。
「ちちうえ……?」
アレクセイの身体が崩れ落ちた。床に倒れる前に抱きとめる。
「これで、いいのだ」
部屋の暖炉の揺らめく炎だけが、その様子を見ていた。
「暇だなあ」
アレクセイはベッドに腰掛け、足をぶらぶらとさせながら呟いた。
「父上も遊んでくれないし、母上は街の視察でいないし。友だちもいないし」
アレクセイは今まで友だちを作ったことがなかった。同年代、もしくは近しい年齢の子どもは周りにいなかった。アレクセイはそう記憶している。まだ六つの年でも、記憶力は抜群で、家庭教師に褒められてもいた。
「……寂しいな。友だちがほしい。僕の友だち。僕の従者。……そうだ、作ればいいんだ」
ベッドから飛び降りて、床に座り込んで、雪の魔法を使う。
すらすら、と雪の小山ができていった。
「……できた!」
雪だるまができていた。小さな男の子の雪だるまだ。
目蓋が震えて、ぱっちりと雪でできている目を開いた。
「きみはだれ?」
「僕はアレクセイ!アレンデール王国の王子だ!君の名前は、シュヴァーンだよ!」
じいっとアレクセイのうさぎのような目を見つめる。
そしてにっこりと笑った。
「やあ、俺はシュヴァーン!ハグしてよ!」