群馬に来てそろそろ2年が過ぎようとしていた頃。
店舗運営も無難にこなし、アルバイトを抱えながらギリギリの人数で日々コンビニで働いていた。
この頃の労働時間といえば、一日平均12~14時間、突発的にトラブルなどあれば、ほぼ丸一日、店にいることすらあった。
台風で窓ガラスが割れて、深夜2時過ぎにポケベルでたたき起こされることもあったし、群馬特有の赤城おろしや、雷雨などの気象現象で停電してドライアイス確保に奔走したり、それはもう、毎日何が起こるかわからないような、波乱万丈な日々であった。
休みを取るのは、月に二日程度。明らかに過重労働である。ただ、20代で若かったせいか、それでもなんとか働けてしまっていたから、自分が限界を迎えつつあることになかなか気づかなかった。
ある日、勤務を終えて一人暮らしのマンションに帰宅した直後。
それまでの仕事の緊張から解放されてほっとしたのか、玄関入ってすぐだったと思う。体がグラッと揺れて、そのままバッタリ倒れてしまったのだ。
「あれ・・・なんだこれ・・・」
倒れたまま天井を見ると、グルグル回っている。そんなときでも冷静だった自分は、
「あ、これ・・・マンガとかアニメとかで見たことあるやつだ!!天井グルグルまわって倒れるヤツ~・・・」
などと、普通に考えたら絶対ヤバイ状況なのに、「マンガの世界だけの話かと思ったのに、本当にこんなこと起こるんだなぁ」と、実際に自分が初めて天井が回って倒れる体験をしたことに、「すげーw」とビックリしていたことを覚えている(笑)。
だがしかし。
状況は普通にやばかった。
倒れてからしばらく・・・30分近かっただろうか。起き上がることが出来ず、なんとなく意識もボーーッとしながら、うっすらと
「あ、これもしかしたらこのまま死ぬんじゃね・・・?」
と、さすがに危機感を持ち始めたが、なんせ一人暮らしで、しかも深夜近い時間。助けを呼ぼうにも、誰もいないし出来ないし、現代のようにスマホがあるわけでもない時代。
どうしたもんかなぁと思いながら、そのまましばらく倒れていたが、30分くらいしたらグルグルも落ち着いてきて、なんとか起き上がることが出来るようになった。
ゆっくりベットに腰かけて様子を見ていたけれど、大丈夫そうだったので、そのまま着替えて横になった。
今思えば、それは体からの最後のサインだったのかもしれない。
翌日、普通に出勤して働き始めた自分だったが、その1か月後くらいから、体調の異変を感じるようになっていった。
続く。