俳優久我美子さんの訃報が新聞の片隅に載った(『朝日新聞』6月15日)。6月9日に誤嚥性肺炎のために93歳で亡くなったそうだ。1946年に三船敏郎らと東宝の第一期ニューフェースとなり、木下恵介・溝口健二・小津安二郎監督らの作品に出演したが、「50年の「また逢う日まで」(今井正監督)では、岡田英次さんとのガラス越しのキスシーンが話題を集めた。」と書いてある。

 

もう70年以上前の話なので「ああそうだった」と思い出す人は少ないだろうが、私がなんとなくそのシーンを見たような気がするのは、後に名画座かテレビでこの作品を見たからかもしれない。ただこの映画が、ロマン・ロランの小説「ピエールとリュース」を翻案して制作されたことを知って、文庫本で読んで感動したことはよく覚えている。後年初めてパリに行った時に、なによりも行ってみたかったのはこの小説の舞台となった場所だった。その時のことを書いた文章があるのでリブログします。

 

(写真は小鉢に咲いた変わり花のウチョウラン)