前に若山牧水の立川にある歌碑を2つ紹介しましたが、その近くに喜志子夫人と長男旅人の歌碑も建っています(1995年)。親子3人の歌碑が近くに見られるのは珍しいのではないでしょうか。

 

  ひとりゐはあさこそよけれわか竹の 露ふりこぼすかぜにふかれて  喜志子

 

 この歌碑は根川緑道の始まるところに建っています。流路の付替えで水の流れなくなったところに自然の雰囲気に草木を植えて高度処理水を流しており、今はカモやカワセミが飛んできます。この水源ともいえる湧き水のそばにこの歌碑はあります。

 

 夫牧水の歌碑がだいぶ下流にあるのが気の毒です。仲のよい2人だったので。信州広丘村(現塩尻市)の旧家に生れた喜志子は、牧水を深く理解し、愛し、添い遂げ、1928年の牧水没後は歌誌 『創作』 を継いで1968 昭和43年に亡くなりました。牧水にこのような歌があります。

 

  いそいそとよろこぶ妻に従ひて 夜半の桜を今日見つるかも

  おほかたはひとの帰りし花見茶屋 夜深きに妻と来て酒酌めり

 

どうしても酒になってしまいますね。

今日はサクラが満開! その辺で牧水夫妻が花見と酒を楽しんでいそうです。

 

 

 

 

 

 

  霧にこもれる多摩川いつか雨となり 芽ぶく楊(やなぎ)もぬれはじめたり  旅人

 

 根川緑道のすぐ近くの立川公園に建っています(1995年)。長男旅人は戦後の1947 昭和22年に立川市に住み、『創作』 を主宰しました。まさに歌人一家ですね。