若山牧水(1885~1928)といえば 「酒」 と 「旅」 ですね。

  東京近郊の当時は田舎だった立川市のあたりにも来たことがあったようです。

 

      旅にて詠める  牧水

    立川の驛の古茶屋さくら樹の もみぢのかげに見送りし子よ

 

  JR立川駅の北口、バスターミナルの一角にポツンと建っています。なんとも風情がなく、立止まる人もほとんどいません。駅前がこのように整備される前はそれなりに風情のあるところに建っていたのでしょうが、私の記憶にはありません。

 

  この歌は第一歌集 『海の声』(1908年刊) にあり、市制施行10周年を記念して1950年12月に建てられました。文字は喜志子夫人だそうです。そういえば下の碑のように丸い感じの文字ではないですね。

 

 

 

 

 

    多摩川のあさき流に石なげて あそべば濡るるわが袂(たもと)かな 牧水

 

  第四歌集 『路上』(1911年刊) にある歌で、歌の多摩川はかならずしも立川市を流れる部分とはいえないでしょうが、多摩川に近い根川緑道に2001年に建てられました。

 

  若山牧水は、与謝野鉄幹の 『明星』 に代って新しい抒情的歌風をもって登場した明治末の青年歌人の一人でした。1912 明治45年の石川啄木の最期に立会った唯一の友人でもありました。