有名な画家いわさきちひろ(1918~74)が最後の22年間を過した東京の自宅跡に1977年に建てられたのが 「ちひろ美術館・東京」 で、私は一時期その近くに住んでいて散歩するちひろさんの姿を見かけたこともあった。やがて子供ができてからは何度も美術館に足を運び、また絵本を買っては子供と楽しんだ。

 

   1997年には美術館開館20年を記念して両親の出身地である信州・安曇野に 「安曇野ちひろ美術館」 が開館した。東京からやや遠いこともあってなかなか訪ねる機会がなかったが、行ってみて驚いた。建物はもちろん広い敷地、爽快な安曇野の自然、アルプスの眺め、想像を超える素晴らしい美術館だった。

 

 

 

 

 

 

 美術館の入口の後には新雪の蓮華岳(2799m)が聳えている。北の方には後立山連峰の白い峰が連なっている。右端の三角の山々が白馬三山。

 

 美術館の近くに高く聳えているのが鹿島槍ヶ岳(2890m)でその右が五竜岳(2814m)になる。美術館の庭には写真のような石のアートがあちこちにある。復元された黒姫高原にあったちひろさんの山荘の背後には蓮華岳が聳えている。 

 

 「いわさきちひろは子どもを生涯のテーマとして描き続けた画家でした。モデルなしで10か月と1歳のあかちゃんを描き分け、その観察力とデッサン力を駆使して、子どものあらゆる姿を描き出しています。ちひろの作品は、母親として子育てをしながら、子どものスケッチを積み重ねるなかで生まれました。日本の伝統的な水墨画の技法にも通じる、にじみやぼかしを生かした独特な水彩画には、若き日に習熟した藤原行成流の書の影響も見られます。青春時代に戦争を体験したちひろは、「世界中のこどもみんなに平和としあわせを」ということばを残しています。ちひろが描いた子どもや花は、今もいのちの輝き、平和の大切さを語り続けています。」(美術館の資料より)

 

  *JR大糸線信濃松川駅下車、約2.5km  冬季休館 12月1日~2月末日