写真は鎌倉の円覚寺塔頭の一つ帰源院の門です。

漱石はこの石段を登って止宿し、釈宗演に参禅したのでしょう。

境内に漱石の句碑があるそうですが 「漫歩、漫写禁止」 のため見ることが叶いません。

入山料をとって境内の漫歩・漫写を許しているのに 「拝観謝絶」 「非公開」 ならともかく

「漫歩、漫写禁止」 とは言葉に棘がありますね。

 

小説 『門』 では、宗助は悩みを抱いて参禅するが得るところなく退去することになります。

「彼は前を眺めた。前には堅固な扉が何時迄も展望を遮ってゐた。

彼は門を通る人ではなかった。又門を通らないで済む人でもなかった。

要するに、彼は門の下に立ち竦んで、

日の暮れるのを待つべき不幸な人であった。」(21) とありますが、

「宗助は私でもある」 という思いを持つ人がおそらく少なくはないでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

円覚寺の前にある東慶寺の入口に建っているのが 「漱石参禅百年記念碑」 です。

記念碑の上段、釈宗演の書簡はとても読みにくいし、

下段の漱石の文章 「初秋の一日」(1912年9月) も読むのに苦労します。

それでも全集で読むことは出来るが、こんなことがあったということにつきる。

 

石碑の文章がちゃんと読めないと解説文がよく分からない。

解説文を読めるように大きくしましたが

おそらくじっくりと石碑を読む人は少ないでしょう。

読んでもらうには石碑ではない方法を考えたらと思った。

 

この記念碑の傍のcafé でおいしいコーヒーを飲みながら

この記念碑は結局関係者の自己満足に終るのではないかと思ったのでした。