とてもショックなことがあった。

 

7歳の娘が泣きながら帰宅した。「どうしたの?」と理由を聞いても、泣きじゃくっているだけで、話してくれない。「いじめられたの?」「先生に怒られたの?」「どこか痛いの?」と聞いても、首を振るだけで何も話してくれない。

 

学童から子供達をピックアップした夫が、「学童の先生が、娘に「お母さんにちゃんと話すように」と言っていた」と言うと、娘はさらに激しく泣き出した。

 

何があったのだろう?

 

心配になって学童の先生に連絡したら、驚く事実が判明した。

 

実は娘が毎日、私が作ったお弁当の中身を学童で捨てているとのこと。数日とかの話ではなくて、半年くらい、ほぼ毎日のように、お弁当を捨てているそうだ。

 

見かねた学童の先生が娘に「お母さんはきっとあなたに食べてもらいたいと思ってお弁当を作っているのだから、お弁当に入れてもらいたいものをお母さんに伝えてみては」と言って、そこから娘は、ずっとお弁当を捨てていたことが私にバレて怒られると思って泣いていたそうだ。

 

サンフランシスコの小学校は無料で給食が出るけど、その給食が不味くて食べたくない、とのことで、私は毎朝5時半に起きて、子供達二人のお弁当を作っていた。早起きしないといけないし、面倒ではあるけれど、食事は子供の成長に大切だから、炊き立てのご飯で、冷めないように保温できるサーモスに入れて、栄養バランスも考えて、一生懸命作っていた。朝7時半から電話会議が入っている時は、5時に起きてお弁当を作った。揚げたての方が美味しいだろうと思って朝に唐揚げを作ってお弁当に入れることもあった。仕事を抱えて忙しい身ではあったけど、毎朝のお弁当作りは、私なりの一生懸命の愛情表現だったのだ。

 

昨日はウナギが一人分しかなかった。娘が、「冷凍餃子は嫌だ、ウナギが美味しかった、と言っていたことを思い出し、娘のお弁当にうなぎを入れ、息子のお弁当には冷凍餃子を入れた。

 

それを、娘は味が嫌いだからという理由で全部捨てていたわけだ。

 

全身の力が抜けるようなショックを受けた。

 

ショックの理由は、まず娘が半年近く、私を騙し続けていた、ということ。

空っぽのサーモスを見て、私が嬉しそうに「今日も綺麗に食べてくれたね。明日も美味しいお弁当作るね!」と言うと、「うん、全部食べたよ!」と言ってくる(これは嘘、実は全部捨てていた)。

「今日、お弁当全部食べた?」と私が聞くと「全部食べたよー!」と元気よく答える(これも嘘、実は全部捨てていた)

 

7歳の子供の嘘なんてすぐに見抜けるかと思っていたけど、彼女の嘘は実に自然で、嘘だとは見抜けなかった。

こんなに自然に嘘をつけるなんて、我が子ながら恐ろしいと思った。

 

また彼女は私が毎朝早く起きてお弁当を作っていることを知っている。にもかかわらず、何の罪悪感も持たずにお弁当を捨て、そのことを私に隠して、毎朝私にお弁当を作らせて、毎日それを捨てていたということ。「お母さんに悪い」とか、そういうことは一切感じなかったのだろうか。

 

彼女が今日泣いたのは、嘘がバレて私が怒るかと思って怖くて泣いただけであり、お母さんに悪いことをした、お母さんを傷つけてしまった、という気持ちからではない。

 

彼女曰く、お弁当を持って行かないと、担任の先生にまずい給食を食べさせられるから、お弁当を持っていったそうだ。要は、「家からお弁当を持ってきました」と先生に言って給食を食べなくて済むようにするためだけに、お弁当を持っていった。そして学童でお弁当を捨てていた。

 

お弁当が嫌なら、どうしてもっと前に言ってくれなかったのか。単に給食を食べなくて済むようにするためのお弁当だったら、バナナとシリアルをジップロックバッグに入れて持っていくだけでもよかった。

そうすれば私の時間も、食材も、無駄にならなかったのに。。。

 

それに、小学生の子供が、昼食を取っていないということにも愕然としている。アメリカの小学校は、先生が子供達にスナック(お菓子)を持ってくることを奨励しているので、おそらく友達からお菓子をもらって凌いでいたのだろう。この半年間、7歳の娘は私のお弁当を捨て続け、昼食代わりにお菓子を食べ、そのことをずっと隠し続けていたのだ。

 

毎朝早起きして、子供が健康に成長するようにと配慮したお弁当を一生懸命作っていた私は何だったのか。私の愛情は毎日ゴミ箱に捨てられていた。

 

娘に対する怒り、悲しさ、虚脱感でいっぱいだ。今後彼女が何を言っても「本当だろうか?また騙そうとしているのでは」と疑ってしまうだろう。自分の娘を信頼できないというのが悲しい。