台風の影響か空は不穏な気配をはらんでいます。

大きくて、黒い雲が流れて行く。


空がタイトルになっている本で真っ先に思い浮かんだのは

この本です。

爽やかな表紙ですが、少年刑務所で生まれた本です。


更生の為、自分を見つめ直す作業の一環として、思いを言葉にする時間を設けるそうです。


様々な詩がある中で、特に目につくのは「お母さん」への気持ち。

自分の帰りを待っているお母さんへの感謝や申し訳ないという気持ち。

あるいは、諸事情によりお母さんの愛情を受けることができなかった恨み。

お母さんの記憶がない子は、お母さんがいたらどうだっただろうか?という憧れ。

一度でいいから、抱きしめられたかった、そんな願いに心が締め付けられました。


どんな事情があるといえ、やってはいけないことをやって良い理由にはならない。

同じ状況でも、立派に道を違えずにきちんと歩んでいける子もいる。

だから、「〇〇じゃなかったから」「〇〇を与えられなかったから」というのは、言い訳にしかならない事は百も承知です。


それでも、この詩を書いた子たちが、望んだ時に望んだだけお母さんに抱きしめてもらっていたら、この詩は生まれていなかったのかな?と考えてしまいます。

こんな事を書くと、お母さんに過度の期待をしすぎた!とか、お母さんばかりに責任を押し付けるな!と言われそうです。

でも、いつの時代もそしてこれこら先の未来もきっとお母さんというのは子どもにとって抱きしめてもらいたい存在No. 1なんじゃないかなと思うのです。

それが、生物学上の母親か、あるいは育ての親としての母親かで違いはあまりないと思います。

自分のことを無条件に受け入れてくれる人がこの世のどこかにいるというのは、生きて行く上でとても心強い事でしょう。
仮に、その存在がすでに失われてしまったとしても、自分が確かに愛されていたという記憶があるだけでも、きっと違うと思います。


どうか、すべての子どもたちがそれを持つことが出来ますように。
そう願ってしまう本でした。