早いもので、今年も残すところあとわずかとなりました..
とにかく慌ただしく日々が過ぎ去っております。

さて、先週末は金曜日夜にEBM勉強会がありこれでEPSDC主催のセミナー& コース納めとなりました!

このEBMブログシリーズもはや8回。
今回の内容は「カリエスリスク評価」でした。
(最後におまけとして前回ブログの訂正もございます。)

過去のEBM勉強会でも、う蝕リスク評価については、
度々話に出てきましたが、

今回は、予防歯科の権威である
カリフォルニア大学歯学部長Dr.Featherstoneが来日したのに合わせて、
再度トピックとして取り上げられました。



まずは、毎度おなじみ「臨床の疑問」です。

患者情報:45歳 男性

主訴:「歯が痛い」ことを訴え来院されました。
根管治療して今は痛みは無くなったが口腔内の状態を見てみるとどうでしょうか。


側方運動時に臼歯があたっています。

咬合面からみると修復物が多いようですね。(未治療歯は1本しかない)

根面齲蝕もあります。(まずいですねー)

前歯部は酸蝕症のように丸く溶けたような状態。(逆流性食道炎?)


生活スタイル:
出張の多い方で、長期出張の前には毎回歯科医院を受診して
チェックや治療を受けているとの情報あり


ここでDr.Mより一言。

「この患者さんの将来がどうなるか、色々な観点から予測してください」


まあ、「色々な観点」とは言われたものの、
今回はDr.Featherstone講演前セミナーということで、
う蝕予防の観点にどうしても目がいってしまいますよね(笑)



いつもの流れとして「患者をみて、口腔全体をみて、歯をみる」でいくと

・出張前には必ず歯科医院受診する習慣があるものの、それ以上には意識が上がっていないのはなぜか?

・患者はどんな口腔状態になっていきたいのか。

・臼歯部の干渉があるから、破折のリスクが今後上がってきそう。
等の意見がでてきました。


この中ではう蝕リスクについてとなると、
歯科医院受診習慣等がそれに当たってくるのでしょうか。


カリエスリスクを評価するのに必要な因子を皆で列挙していくと、

過去のう蝕経験
齲蝕活動性
食生活
口腔衛生習慣
フッ化物適用
全身疾患

がでてきました。 


患者さんに「どうして虫歯になると思いますか?」と聞くと
9割方「歯を磨かなかったからだと思います。」とかえってきますが、
単純にそれだけではなく、
様々な因子が絡んで起きる問題であることが良く分かりますよね!


この項目、
「評価したところで実際に患者さんが改善できる項目は3つ位しかないようですけど・・・」

と、Dr.Mからの御指摘がありましたが、

「逆に言えば実際に変えればいいのが3つだけなら意外と楽かも?」と、、

私の心の中から聞こえてきましたが・・・どうなんでしょ?
自分って前向きだなー うん


さて、次は本題のCAMBRAです。

2002年にカリオロジーの権威達が集まって、
カリエスリスクに影響を及ぼす因子について話あった結果作られたプログラムの様です。
中身をみるとカリオグラムと項目が近そうです。

フッ化物の与える影響が大きい様ですねー。
このリスク評価の結果に合わせて予防治療プログラムが組まれていますが、
その効果はどのようなものでしょうか。


このCAMBRAの評価とそれに伴う予防治療プログラムについての研究は
3つしかないようですが、
2015年のもの(Baseline caries risk assessment as a predictor of caries incidence. Benjamin W. Chaffee et al)を読んでみました。


結果はリスクが高いと評価された患者ほどDFTが高くなっており、
リスクは妥当に評価されているようです。

・・・逆に言えば予防プログラムが機能しているの?とも思えてしまいますよね・・・

評価するプログラムと、予防するプログラムが同時に行われているので、
それぞれの効果が正当に評価されていなさそうにも思えますが、
予防プログラムを行わなければ高リスク群のDFTはもっと悪化していたかもしれない
と思うと・・・(ぞぞぞ~っ)


後ろ向き研究だとこうなってしまうようです。 だから前向き研究がいいわけですな。


自分としては予防プログラムは置いておいて、
評価プログラムは信頼できそうだなと感じました。
それを臨床でどう活かしていくかがキモですな!


というわけで今回はここまで。
「リスクが高かろうが低かろうが、関係なくブラッシングは徹底的にやんなきゃあかんやろが。リスク評価等、無用!!!」と、

どちらかといえば「シュレディンガーの猫」的な考えでしたが(使い方合ってる?笑)、

モチベーションコントロールの材料としての価値はおおいにありそうだなと
感じ始めた今日この頃です。


「エビデンスから得た情報の使いこなし方」・・・ 難しいテーマですな


来年もまた一生懸命 勉強しなければ...


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番外編

前回のEBM ブログ訂正でございます。
ブログアップ後にDr.Mチェーックが入り、「間違えてるよ」とダメ出しをいただいて
いたのですが、あえて直しておりませんでした。(テヘヘっ笑)

ここでこうして訂正について書かせていただくことで、
より正直でリアルなブログになるかな、と。
 
さて皆様の批判的吟味により、いくつ見つけられたでしょうか? 笑

1、(ちなみに、フッ化物による齲蝕の予防効果についてのシステマティックレビューは沢山あり、歯磨剤に関してコクランレビューではプラセボと比較して250ppmからすでに有意差があり、1000ppmを越える辺りから効果の差が小さくなるとされているようでした。)


↓ 正解は,,


(ちなみに、フッ化物による齲蝕の予防効果についてのシステマティックレビューは沢山あり、歯磨剤に関してのコクランレビューではプラセボと比較して1000ppm以上では有意差があるようでした。)


▶︎有意差の使いどころを間違えておりましたねー



2、我々が知りたいのは齲蝕のリスクです。細菌の数が減ろうが、カリオグラムでのリスク評価が減ろうが、
↓  正しくは

我々が知りたいのは齲蝕の発症が減るかです。細菌の数が減ろうが、カリオグラムでのリスク評価が減ろうが、


▶︎「そうそう、リスクが知りたいのではなく、実際にう蝕が出来たかどうかが大事って言いたいのに、「我々が知りたいのはう蝕のリスクです!」とか書いちゃってますねー。汗 書きながら興奮しすぎたかな?」



さらにこの論文では「カリオグラムは評価されたリスク評価プログラム」と記載されていますが、
↓ 正しくは、、

さらにこの論文では「カリオグラムは臨床的に効果が証明されたリスク評価プログラム」と記載されていますが、


▶︎「記載内容を勝手に変えちゃダメですよね。 批評する人間が改竄してちゃしょうがないですよ、ほんと 汗」



カリオグラムを評価したシステマティックレビューでは「カリオグラムは高齢者の評価に効果があるが、その予知性には限界があり、特に小児の評価には適さない」
↓ こちら,,


▶︎カリオグラムを評価したシステマティックレビューでは,
「カリオグラムは高齢者をリスク分類するのには中程度から良い性能といえるが、
就学前の子供に対しての使用は予知性に限界がある」と報告されていて、
この筆者の書いているようなことはないですね。
これは引用が誤っています。😭


「内容端折り過ぎました。 バイアスになりますねこれは。
 いやーあんまり長い文章だと読者が読むのに疲れると思ってー(言い訳ボソボソ・・・)」


さっきのあの歯磨剤、子供用でしたよね・・・
↓   はああーー

さっきのM18、子供用でしたよね・・・


▶︎表現は正確に・・・😭😭



おっ? てえへんだ、親分!!! こいつが「Reporting bias」ってやつじゃあ!?
↓ これも?!!

おっ? てえへんだ、親分!!! 対象者が間違えてる!?


▶︎「《Reporting bias:全ての結果を公表しているか》」 でしたね。
子供への効果については評価されていないM18を小児用として使うことは、
全然Repoting bias ではございません。頓珍漢もいいところです。」😭



まだまだやなー😭 

 年内も後少し、、がんばるぞー😭