楽しかった食事会もお開きになり、駅を目指すMじいさんと私。
Mじいさんは「Sさんはすごいでしょ?」とか「Sさんは賢いんだ。」とか「Sさんの娘さんも美容院とネイルサロンを経営していてがんばっているんだよ。目の付け所が違うからね。」とひたすらSさんwithSファミリーを大絶賛。
しかし、初めてSさんのママ姿を見てうわさに聞いていたうっすい水割りを初体験し、テンションが高かった私はMじいさんのSさん自慢にも嫌な顔一つせず、のっかってあげました。
だから、帰り道もものすごく盛り上がりました。
なんせ2人してひたすらSさんを褒めちぎりましたからね。
気分をさらに良くしたMじいさんは売店で週刊誌を2冊お買い上げ。
なぜだか私にも週刊文春を買ってくれました。
正直、週刊誌よりのど飴のほうが欲しかった私。
そんな私の気持ちを察したのか、売店のオバちゃんがサービスでお客さんにあげている飴をくれました。
私はカゴから取ってすぐに食べました。
Mじいさんは「ワシは40歳以上のおばちゃんに人気があって、飴をよくもらうんだよ。」とまるでお前がもらった飴はワシのおかげだぞと言わんばかりの発言をしました。
【きっと、売店のオバちゃんはMじいさんがおじいさんだから親切にしてくれたんだよ。】と思いましたが、確かにMじいさんが3冊も週刊誌を買ってくれたからもらえたので、純粋に感謝の気持ちを言葉にしました。
「MさんはいつもVIP待遇ですね~。」とヨイショすると満足そうに微笑んだMじいさん。
Mじいさんが週刊新潮と週刊文春を小脇に抱えながら飴の袋を開けて口に入れようとしたその瞬間に事件は起こりました。
袋から出されたばかりの飴はMじいさんの口に入ることなく床に落ちて二つに割れました。
落とした飴を切なそうに見るMじいさん。
ゴメンね、私はもう食べちゃっているからさしあげられない。
私一人飴を食べていることを若干申し訳なく思いながら、しかしやはりほろ酔いなのでMじいさんが何をしてもおもしろくて仕方がない私は必死に笑いそうになるのをこらえながら歩きました。
無事駅に着き、お別れのときがきました。
「それじゃあ、気をつけてね。」とMじいさんは一言だけ言ってスタスタと行っちゃいました。
Sさんの時はあんなに振り返っていたのに…。
私のほうがピチピチなのに…。
愛人とただの部下の違いを肌で実感しました。
Mじいさんとの久々のディナーは忘れられない夜になりました。