ブログのフォロワーさんが読まれていて興味を持ち、恩田陸さんの「灰の劇場」を読みました。
1994年に起こった女性二人の心中事件の小さな新聞記事が題材です。
心中事件は実話なんだろうか?
三つの軸をもとに話が展開していきます。
章立てが0と1と(1)であらわされていて、それぞれ
0:恩田さんがこの二人の人生の物語を書くまでのお話
1:心中事件を起こした女性二人の日常から心中までのお話
(1):心中事件を舞台化するまでのお話
となっています。
最初は1で始まったので「1章ね」と思って読み始めると次に0が来たので何が何やらって感じでしたが、誰視点で書かれているのかがわかってようやく構成が理解できました。
1に至っては二人の女性それぞれの視点での話があるので、各章で誰目線のお話なのか注意深く読まないと、頭の中がすっちゃかめっちゃかになりそうでした。
1ではとてもリアルに二人の様子が描かれていて、小さな新聞記事からこれらのことが引き出せる恩田さんに驚かされました。
物を書く人って敏感に、繊細に出来事を感じるんですね。
ひょっとしたらこの章立て、0から1を生み出すことの大変さを表現するための手法だったのかも知れないですね。
P235、P241、P243と立て続けに同じ文章が出てきます。
「日常。なんという不可思議なものだろう。」
死は日常の何気ないことがきっかけで突然意識するものだと書かれていました。
例えば「単一形の乾電池がない」とか「油の凝固剤がない」とかに気づいたときに、ふと絶望する。
こともあるらしい。
あまり死について深く考えたことがないのですが、そういうものなのかも知れないなと思いました。
最終盤にまるでピクニックに行くかのように心中場所へ出かけるのが印象的で、もしかしてこの二人の人生は幸せだったのだろうか?と不思議な気持ちになりました。
二人の女性が僕と同世代ということもあり、身近に感じる本でした。
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本の紹介[Amazonより]
著者:恩田陸
「私は確かにその二人を知っていた。もっとも、私はその二人の顔も名前も知らない。」恩田陸の新境地となる、“事実に基づく物語"。
26年の時を超え、恩田陸、デビュー当時からの「宿題」が、ついに長編小説として刊行!
*ファン待望の総特集「文藝別冊 恩田陸 白の劇場」、同時刊行。
【内容紹介】
大学の同級生の二人の女性は一緒に住み、そして、一緒に飛び降りた――。
いま、「三面記事」から「物語」がはじまる。
きっかけは「私」が小説家としてデビューした頃に遡る。それは、ごくごく短い記事だった。
一緒に暮らしていた女性二人が橋から飛び降りて、自殺をしたというものである。
様々な「なぜ」が「私」の脳裏を駆け巡る。しかし当時、「私」は記事を切り取っておかなかった。そしてその記事は、「私」の中でずっと「棘」として刺さったままとなっていた。
ある日「私」は、担当編集者から一枚のプリントを渡される。「見つかりました」――彼が差し出してきたのは、一九九四年九月二十五日(朝刊)の新聞記事のコピー。ずっと記憶の中にだけあった記事……記号の二人。
次第に「私の日常」は、二人の女性の「人生」に侵食されていく。
新たなる恩田陸ワールド、開幕!
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