あらためててんかん外科について考える | クリーブランドクリニック 留学日記

あらためててんかん外科について考える

私のホームページにてんかん外科医とありますが、実はこんな言葉は存在しません。
今回あらためててんかん外科について考えてみました。
まずてんかんの治療を考える上で、まず考慮しなければならないのが薬物治療です。こちらにもそして日本にも多くの抗てんかん薬があります。この抗てんかん薬を適切に選び、そして適切な量服用していたのかを考えなければいけないと思います。そしてもう一つ、やはりライフスタイルに発作は影響をうけるので、規則正しい生活(これは規則正しい服用につながりますので)、十分な睡眠(疲れも発作を誘発します)を行っているかもチェックしなければなりません。それらを行った後、まだ発作が見られる場合、外科治療を考慮します。
それでは、てんかん外科とは何か?たとえば、脳腫瘍であればMRIで見られる病変を摘出します。脳動脈瘤ですとそれに対する開頭術によるクリップ治療(アメリカでは血管内治療が多いですが)を行います。
ではてんかん外科は何をするか?基本的にてんかんの発作起始は目に見えませんので、いろいろと検査をしなければなりません。脳波検査、画像検査、そして心理検査など、発作起始を探索するには大変な作業が必要となります。これらは患者さんの多大な協力がないと進みません。
それらの検査結果を元に手術をすることになります。もっともすぐ切除にいたるわけではなく、さらに詳細に調べるため頭蓋内電極といい、電極を留置し発作起始を正確に同定したのち最終的切除となります。それにもかかわらず発作焦点が絞ることができなかった場合、迷走神経刺激や脳深部治療など姑息的治療になります。
では、てんかん外科医において何が名医か?
巷では、手術がうまいだとか、いっぱい手術をしているからいい外科医だとかいわれます。てんかん外科の分野にはこれは必ずしも当てはまらないと思います。だからといって下手ならいいということでもありません。日本のてんかん医療は術前検査もほとんどが脳外科医が行っています。ですので、適切で、詳細な術前検査を行い、それを正確に解釈できる、これがてんかん外科医にとって最重要課題になります。評価が間違っていれば、切除する場所ももちろん変りますし、発作もよくなりません。
ですから、てんかん外科医=てんかん術前評価医かと思います。もちろんその後の手術は、手術の難しさもありますが、スーパードクターしかし得ない手術などないと思います。そんな難しい手術でしたらてんかんの患者さんに手術をお勧めできませんよね?術前評価をきちんと行っていれば、型どおりの手術を行うことで、一定の成績を上げることができます。
今までもそして今後もてんかん外科の分野にはスーパードクターが出てきません。手術にいたるまでがとてもとても大切なのです。それはよくテレビとかに出ている手術をしている先生のように派手ではなく、脳波解析や画像解析など裏方の仕事に大変な労力と時間を使っているのです。
てんかん外科医の奮闘記としていますが、私が仕事していることのほとんどがこの術前評価につながっています。発作症候の詳細な解析、大量の脳波の判読、MRIの読影方法、発作時SPECTの解析方法、PETのSPM解析、そして皮質刺激などなど勉強しなければいけないことがまだまだ山のようにあります。