前記事の続きで、サウジアラビアの「汚職追放作戦」は、ムハンマド皇太子による対イラン戦争の下準備というものでしたが、仮に両国が戦争になった場合、どちらが有利になるかの話を参考資料をもとに、再解釈していこうと思います。

 

両国とも、地域大国として大きな存在感を示していますが、まずもって話しておくことは、単純な「統計比較」だけで現実の戦争を推し量ることは不可能だということです。

 

たとえば現代の戦争で言えば、2006年のイスラエルとヒズボラの紛争では、圧倒的な予算と装備を誇るイスラエル国防軍の戦闘においても、結果は「引き分けであり」、遡って近代の『丙寅洋擾』(1866)の戦争において、李氏朝鮮がナポレオン三世のフランス帝国に勝利したり、インドシナ戦争(1946~54)後のベトナム戦争においても、いずれも大国が敗北を余儀なくされるパターンがあります。

 

つまり、統計はあくまでも「相対的な指標」に過ぎず、絶対性をはらむものでないことを、物事の本質を語る上では重要な感覚です。

 

 

それを踏まえた上で、主に『数の問題』からすると、各国軍隊の「相対的な強さ」を比較しているウェブサイト『Global Firepower Index』から引用すると、イランサウジアラビアの順位は拮抗しており、前者が「21位」後者が「24位」です。

 

http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2017/11/post-9320.html

 

 

ここで特筆すべきことは、イランの人口は8028万人(2016)であり、サウジアラビア3228万人(同)の約三倍の人口数を誇っています。

 

これによって、イランの兵力動員数サウジの1400万人に対し、3900万人を動員できます。軍事要員総計は、934,000人と推計され、サウジアラビアの3.6倍です。

 

 

ひるがえって、『軍事予算』ではサウジがイランを大きく突き放しています。

 

イランの毎年の防衛費は63億ドルですが、サウジアラビアは560億ドルです。これは破格の予算であり、日本は年間470億ドル(2017)で、韓国が421億ドル(同)フランスやドイツが、それぞれ460億ドル(同)と426億ドル(同)であり、いかにサウジアラビアが超絶な軍事国家であるかが伺えます。

 

しかし逆からすると、その兵器の大半は欧米製であり、費用対効果があまり望めないことが指摘されます。サウジは毎年、アメリカから法外な価格であらゆる兵器を購入しており、他国と同じ性能の武器を、無駄に高く購入する「悪い買い物」をしています。また、それを国産化する能力に著しく欠如している点もあります。

 

イランの場合は、国産可能なものは何であれ自製します。そして差異は現実以上に大きく見えません。イランがロケット工学分野で成功しているのは明らかであり、アメリカ製の兵器が何でも素晴らしいかと言えば、ロバーツ氏の別の指摘からすると、ロシア軍と比べて「二級だ」という話もあります。

 

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細かく言うと、国が違えば、商品もサービスも、それぞれの市場で値段が違うので、同じ支出でも、得られるものは異なります。ウェブサイトは、イランの国防予算は、購買力で調整すると、1.459兆ドル、これに対し、サウジアラビアは1.731兆ドルと推計しています。

 

いずれにせよ、どんなに金をかけて良質な兵器を揃えた「割には」、思ったより順位が振るわない事実も踏まえて考えなければなりません。

 

 

『ハードウエア』の点では、戦闘機と攻撃機の数では、サウジアラビアがイランを圧倒します。

 

【戦闘機】177機(サウジアラビア)vs137機(イラン)

 

【攻撃機】245機(サウジアラビア)vs137機(イラン)

 

参考記事によると、イラン航空機の一部は、シャー時代から引き継いだF-4ファントムIIなどの旧式アメリカ・モデルで、他は1980年代末から1990年代初期に引き渡されたソ連と中国の航空機です。サウジアラビア空軍は、最新のアメリカ・モデルや、一部ヨーロッパ・モデルが山積み状態であり、戦争となった場合、イランは長年開発して来た地対空ミサイルで、それを撃墜する可能性もはらんでいます。

 

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続いて『海軍・陸軍力』についてです。

 

前者においては、ほぼ間違いなくイランが有利であると指摘されます。

 

艦船の数イランが398隻で、対するサウジは55隻。それは主として、230隻の哨戒艇からなるイランのモスキート艦隊のせいですが、ペルシャ人は、アラブ人がないものも保有しています。それは潜水艦です。

 

イランは、小型な排水量10トンのアル-サベハト15輸送潜水艇から、1990年に引き渡された三隻のロシアのキロ型攻撃潜水艦に至るまで、33隻の潜水艦を保有しています。もし、アメリカが関与しなければ(a big if)、イランは、少なくとも全てのサウジアラビア艦船のペルシャ湾航行を阻止できるでしょう。

 

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また大規模地上戦となると、イラン側がより多くのハードウエアを保有しています。歩兵戦闘車ではサウジアラビアより数が劣りますが、戦車部隊の力では上回り、あらゆる種類の火砲で圧倒的に上回っています。しかしながら、イランがこの優位を十分に生かせるかどうかは、空を守れるか否か次第だろうとされます。

 

 

大部分の引用は続きましたが、ここでハッキリしたことは、お金を積めば「強い軍隊」を作れるというわけではなく、それは相対的な指標に過ぎないこと、またネトウヨ界隈では過度に持ち上げられている自衛隊についても、関係する動画をいくつか紹介してみます。

 

 

https://www.youtube.com/watch?v=teWe18hxCXQ

 

 

https://www.youtube.com/watch?v=ik41ocpgLJM

 

 

https://www.youtube.com/watch?v=dgRrm26ugSc

 

 

ぶっちゃけ私の感じた印象では、精鋭と噂される「レンジャー部隊」(上二つの動画)についても、正直そんなにすごいとは思いませんでした。たしかに蛇を食べるの嫌ですし、訓練も辛いのでしょうけど、こういうと失礼だと思われますが、どことなく「部活の延長」のようなものを感じてしまうのです。

 

つまりこれが「陸上自衛隊の最上位の兵士」だとすると、他はそれ以下なのかと、もちろん映像の一部を見た感想ですが、昔テレビで見た北朝鮮兵士の訓練映像とも見劣りしますし、在日コリアンの友人の話からしても、あれはフェイク映像でも何でもなく、当時親戚の18歳のヌナ(朝鮮語でお姉さん)が、射撃場で平気でライフル銃を撃っていた姿だとか、小学2年の友人は耳をつんざくような「発砲音」と排出された薬莢の「熱さ」にビビってしまい、改めて「国民皆兵」である事実のすごさを見せられたと、今でも記憶に残っていると言っています。

 

つまりこの「根本的感覚の違い」こそが、兵士の強さだとか、もちろん軍事予算も「強さの内」だとは考えられますが、それだけでは物事は語れないことを、今回の記事でご紹介させて頂きました。

 

 

https://www.youtube.com/watch?v=bFnyY4c-Nc8

 

 

https://www.youtube.com/watch?v=4DS2xUbj3Uc

 

<参考資料>

 

・マスコミに載らない海外記事『イランとサウジアラビアの武力威嚇: 全面戦争では、どちらが優勢か?』

 

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