去り行く依存 | 愛と幻想の薬物

愛と幻想の薬物

病んだ精神を癒やすために、体験を基にし、エッセンスとしてのホラを加えながら『さいはての地』での記憶を辿ります。
妄想、現実、ありがちな経験をもとにした物語です。

時が経つに連れて
次第に薬物への衝動が
薄れてきた。

密売人たちという自分勝手な輩に、自分を乱されるのも、
値段にそぐわないせせこましい作用も、
あまりにちっぽけでみすぼらしく見えてきた。


昔は自分の感覚に革命を起こすような、魅惑的で強い刺激に酔い広がる内面に驚かされ、
まぐわう異性の肌の温もりに欲情し、また癒され同様に慈しんだ。

覚醒する夢が見せる幻に追われても、飽きたらず、
沸き上がる衝動に身を任せて
常軌を逸脱する背徳を歓びだと疑わず、
狂喜が狂気に変わり
無垢な安らぎが、おぞましい肉欲の掃き溜めに堕落した。

そんな狂気の沙汰がある日途絶えた。

平静な日々を募らせてゆくに連れて、
狂える欲情に溺れた破滅的な恍惚は潰えた、と気づかされる。


遠い日を思えば、甦るケダモノの記憶。
眠らない日々に費やし蔑ろした無垢な願いはすべて
騙し合い貪り合う同じ穴のムジナ。

実りのない満たされない浅はかな願いと、もう刺激にすらなりえない孤独な月夜の幻想。

目先の小銭に一喜一憂するような、ただの強欲な気の触れた婬獣どもには、

人生の暇(いとま)も費やせない。


営業したいなら、せめてシャブ屋の気概くらい持ってから電話をかけてこい。