ケミカルトレッキング~青春編7 | 愛と幻想の薬物

愛と幻想の薬物

病んだ精神を癒やすために、体験を基にし、エッセンスとしてのホラを加えながら『さいはての地』での記憶を辿ります。
妄想、現実、ありがちな経験をもとにした物語です。

初めてみる覚醒剤はガラスの小瓶に入っていた。
小さな石英のような…半透明の塊。
このときは小さく少なく見えたが、今思えばハーフ(0.5g)程…。

今度は耳掻きをソファーの脇から取り出し、ガラス瓶の中で半透明の結晶をそれで砕いた。
次いでアルミホイルを15cmほど切り出すと、手慣れた器用な手つきで素早く谷折りのアルミを作った。
その谷折りの端あたりに、耳掻きで集めた欠片をのせて谷折りアルミを、下からライターの弱火で軽く炙ると、煙りが少し出る。
この時に谷折りアルミを斜めに傾けて、溶けた覚醒剤を流す…アルミは熱伝導が高いので、すぐに熱くなる反面すぐに冷えるので、溶けた覚醒剤は溶解温度以下になるのが早く、冷やされてアルミに広がり付着する。

カズヤさんは覚醒剤が付着した谷折りアルミを手にし、俺にアルミのストローを手渡し
『煙りが出たらすぐに吸えよ、吸われへんようになったら手で合図せぇ。』
俺の返事を待たず、カズヤさんはライターを着けて覚醒剤の付着したアルミを炙りはじめた。
俺は慌ててストローを近づけ、立ちのぼる白煙を必死に吸った。
グレープフルーツのような香りと、少し甘みを帯びた煙りが肺に流れ込んでゆく…。

タバコとは異なる煙り…と、ここで思わずむせてしまい、咳き込んでしまった。
『何やっとんねん!!アホやのぅ~』カズヤさんは俺からアルミストローを受け取り笑いながら、
こうやるんや、見とけよ…と言いもう一度自分で白煙を吸った。
吸う度にカズヤさんのテンションが高まってゆくのがわかる。

もう一度ストローわ渡され、先ほどのようにカズヤさんが言うままに白煙を吸い込む。
今度は上手く吸えた。
俺は煙りを吐き出さず息を留めた。少し酒の酔いが覚める感じと手先が冷える感触があった。