このブログでも何度か書いていますが、今年のセレッソは守備意識が非常に高いと思います。
この試合でも、攻撃から守備への切り替えが早く、ボールを失ってから、チームとして前から高い位置で奪いにいくのか、それとも、ブロックを作るのか、が非常にスムーズでチームとしてコレクティブにいい守備ができていたと思いますね。
その守備の安定があり、攻撃も繋ぐことだけに固執せず、奪ってからの早い攻撃もあれば、ボランチでのボール交換から、長短のパスを交えて、サイドチェンジがあって、速攻・遅攻、サイドから・中央からと 攻撃が多彩になってきました。
ビルドアップの部分でも、扇原・シンプリシオ・螢がボランチの位置からキープ力を活かしたり、パス交換などでを時間を作って、SBの上がれる時間を作っている。 だから、SBが高い位置から仕掛けられるような攻撃になるので、サイドからの積極的な仕掛けが増えたし、また、扇原&シンプリシオが動きながらコースを作って縦パスを出せるので、中央から、曜一朗や南野を経由してバイタルで前を向いて仕掛けることもできるようにもなってきています。
この試合、チームとして守備はコレクティブで、攻撃でやろうとしていることも多彩で、いいサッカーをしているという印象を受けました。
守備の堅い仙台に、今シーズン、初めて先制を許す展開の中で、どうなるか?と思いましたが、見事に後半から一気にギアを上げて、後半開始早々に同点においついて、圧倒する時間帯を作ったあたりは、『やはり今年のセレッソは力がある』と、改めて感じさせてくれました。
ただ、後半、攻撃を活性化させる為に切った交代カードが、逆に攻撃に停滞を招いてしまった采配には残念。
仙台は、後半早々に同点に追いつかれて、守勢に回っていた中で、佐々木→ヘベルチ(64')
松下→富田(69') と2枚のカードを切って、徐々に盛り返してきていたところでのセレッソの一枚目。
これが、南野→ブランコ(71')
南野は、攻撃的センスもありながら、労を惜しまない運動量とフィジカルで身体を張った守備のできる選手。
タフな仙台相手に、攻撃でなかなか仕事はさせてもらえてなかったものの、チームとしての役割はきっちり果たしていたと思います。
そこに、ブランコ。
結果として、ブランコが入ったことで、試合はスペースができて、よりオープンな展開になりました。
これは、プレーが軽くて守備のできないブランコが入ったことも起因していると思います。
守備面で目を瞑っても、攻撃面でそれを補うか、それ以上の貢献があればいいのですが、肝心のアタッキングサードで全く周囲とかみ合わず、個人での突破もできない。
そして、フィジカル的に押し込まれてきた中で、柿谷→杉本(85') の2枚目のカード。
ブランコが機能しなかったので、フィジカルで盛り返すために曜一朗を下げる決断をしたクルピ監督。
結果として、アタッカーはエジノ・健勇・ブランコ・(螢)という陣容。
メンツを見るだけでも、連携した攻撃は望めず、このメンツでは3人目の動きなどまで動き出していける訳もなく、攻撃は個の力に頼るものへと完全に傾倒。
それでも、エジノや健勇が際どいシーンを作ったものの、攻撃のバリエーションは確実に低下しました。
仙台の交代カードがそれぞれで利いていたのとは対照的に、セレッソの交代カードは効果的ではなかったと思います。
同じドローでも、攻撃の流れを止めることなく交代カードを駆使して更に押し込んでのドローと、交代カードで逆に攻撃に停滞を招いて尻すぼみのドローとでは印象が全く違う。
今日の試合は間違いなく後者。
それまでの流れが良かっただけに、『(采配次第で)勝てたのでは?』という思いがより強くなった試合でもありました。
最後に、
目に留まった選手について簡単に。
曜一朗。
ボールを受ける1トラップ目だけで相手を翻弄している。
ボールを受けるまでの動作やフェイントで相手に的を絞らせず、相手が飛び込めない状態を作っていた。
今シーズン、試合を重ねるたびに、確実に凄みを増していると思います。
エジノ。
後半のようにスペースがあれば、フィジカルもあるので、強引なプレーなどそれなりのプレーができると思います。
ただ、一番チャンスの作れて、そして相手の密集するアタッキングサードでは、時間とスペースがないことで、まだまだ頼りにならない。
特に、前半のようにJ1では時間的にもスペース的にも瞬時の適切な判断が求められる中では、まだまだプレーや判断スピードについていけていない。
リーグ戦もナビ杯も多くの時間をもらっているだけに、そろそろ得点なり結果が欲しいところです。