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冷蔵庫は、私がトイレに入っている間にもその人格が変わっている。それは、大きな電力とその音によって変化している。そして、頭上で常に聞こえているジーワシャワシャという音が頭や体に近づいてきている。

ある時はスマホの操作をする時、ある時はトイレ内に入っている時、その他にも冷蔵庫が本来の目的から外れている時がある。
そして、その目的から外れた役割は、私にとっての不利益でしかない。

冷蔵庫の最初の異変は、2016年の春頃だった。その当時、大変な出来事があり、夜は自宅に居なかった。ある朝、帰宅すると、家の中に誰かが侵入した形跡があった。普通だったら大変な事態なので、そこでそのことに対しての何らかの行動を起こすものだと思う。それでも、それを上回る出来事に遭遇していたので、そのことに気を取られている暇などなかった。それよりも大事なことがあった。

それ以降、数ヶ月内に何度か留守中の自宅内に誰かが侵入した形跡があった。その度に冷蔵庫の音が高くなり更に目に見えて異変が分かるようになっていった。
それ以降、冷蔵庫の異変は続いている。何度買い替えてもその状態は同じで、次第に電源を継続して入れておくことは困難な状態になった。

冷蔵庫ひとつ取ってみても、このような状態が継続していて、その他の生活上の不具合も完全に解決されることはなく現在に至っている。

生きていれば様々なことに遭遇すると思うけれど、ことの発端は、最初の何らかの異変に対して、そのことに気を取られている暇がないほどの生活上の問題が発生していたということ。
ひとつの不自然な現実の後に起こったことの全てに対して、不自然な現象、不自然な事態が起こっていたということ。

その不自然な事態が今現在も尾を引いている。振り返れば、今に纏わることだけでも、それは二十数年前までに遡る。