そこは小さな「水たまり」だった


そこを歩いたとしても

靴も汚さないような

小さな水たまりだった



人はそれを「池」と呼んだ


でも、それは

池ではなく

小さな水たまりだった



そのうちに

誰もが小さな水たまりを

池と呼ぶようになり


いつのまにか

小さな水たまりの中には


池と呼ばれる水が注がれていった


やがて

小さな水たまりの中は

注がれた水で一杯になり


それが

大きな水たまりとなり


最初の

小さな水たまりの水と

池と呼ばれる水が混ざり合い

溶け込んでいった



大きくなってしまった

小さな水たまりには

さらに

池と呼ばれる水が注がれ…


やがて

本当の池のようになった


そして

その周りには


新たな水たまりが

いくつも出来てしまった



池は危ないから…と

池の周りには

柵を設置する計画がたてられ


最初は

小さな水たまりであったことは

すでに忘れ去られたかのように


まるで

何事もなかったかのように


小さな水たまりの存在は

忘れ去られていった




そして、長い年月が経ち


その中で

池の周りのぬかるみに

足をとられてしまい


その池の中に落ちてしまったり


とらわれた足が

自分で戻せなかったり…



小さな水たまりだった

池の周りでは


様々な出来事が

今も続いている




それは

小さな水たまり…だった



太陽の暖かい日差しと

心地よい風と

きれいな空気…



それさえあれば…



ちょうど良い湿度の土に


すぐに

戻れるはずだった