深く頭を下げる彼に対して

ボスは優しい口調で

僕はね、
いつか…いつかは娘から
彼を紹介される日が来るんだろうな
そして、段階を経て周りに祝福され
嫁に行く時が、いつかくるんだろうと
思っていたよ…と。
でも、まだもう少し先の事だと思っていたんだけどな…と。


だから今回、話を聞かされた時は
正直まったく気持ちがついていかなかった…と。
許せなかったと。

やっと少しずつ 気持ちが落ち着いて来て、
君も仕事が決まったと聞いたから
今日こうして来てもらったんだよ…と。



19の若造に、偉ぶることもなく
カッコつけずに正直な気持ちを
丁寧に伝えるボス。


心配事を言い出したらキリがないからね
それよりも2人で力をを合わせて 
幸せな家庭を築いていって欲しい!


そして今1番に思う事、それは
娘と産まれてくる子を
しっかり守ってやって欲しい!
それだけだよ…と。


君には父親がいないと聞いているが
僕も早くに自分の父親を亡くしている…

これからは僕を父親だと思って
遠慮せず何でも頼ってくれればいいから


できの悪い娘だけど、どうか宜しく頼みます!とボスが彼に頭を下げた

私もボスの斜め後ろで 涙をこらえ
同じく頭を下げた。








ボスぅぅぅぅ…
カッコよかったよぉぅぅぅえーん

本当はもっと言いたい事いっぱいあったよね
一発、二発、百発、ぶん殴ってやりたかったよね
本当は、まだ娘を手放したくないよね
寂しいよね、心配だよね、
色んな想いが込み上げて

うぇぇぇぇーーーーーんえーん

2人が帰った後、
私はボスに抱きついて
泣きました。


しばらく泣いて…
凶器となりそう…だった物を全て
もとのあった場所へ戻し
会社を出る頃には
にこにこ☺︎笑顔で
心も軽くなり
気持ちもスッキリしていました。