映連発表、2017年興収は2285億円で歴代2位

 
映連は25日、都内で会見を開き2017年の全国映画概況を発表、岡田裕介会長が説明した。17年の年間興行収入は、前年比97・1%の2285億72百万円。興収発表を始めた00年からの過去18年間で、16年に次ぐ歴代2位の好成績だった。内訳は邦画が1254億83百万円で前年比84・4%、洋画が1030億89百万円で前年比118・6%。邦洋のシェアは邦画54・9%、洋画45・1%。前年(洋画36・9%)から洋画がシェアを伸ばした。入場人員は前年比96・8%の1億7448万3千人。

 ODSは全体で182億2千万円(前年比111%)。内訳は邦画72億12百万円(前年比81%)、洋画6億84百万円(前年比86%)、中継103億24百万円(前年比155%)。このうち邦画と洋画を合わせた78億96百万円を年間興収2285億72百万円に算入した(中継は含まず)。

 平均入場料金は1310円で前年より3円上昇。4DやIMAXなどチケットが高額な作品が人気で、対応するスクリーンも増えた。公開本数は邦画594本(16本減)、洋画593本(54本増)。合計の1187本(38本増)は史上最多で、5年連続で1千本を超えた。スクリーン数は全国で3525。閉館54、開館107、差引き53の純増となり、13年から5年連続で増加。このうちデジタル対応は3453(全体の98・0%)、3D対応は1214(34・4%)。

 興収10億円以上の作品は、邦画は『名探偵コナン から紅の恋歌』以下38本で計777億1千万円。洋画は『美女と野獣』以下24本で計841億3千万円だった。このように10億円以上の作品で比較すると洋画が邦画を上回ったが、最終的には17年も邦画のシェアがまさった。

 岡田氏は「洋画が盛り返したが、5~10億円の作品が大変多く出たため、邦画の方がよかった。10年以上前から比べ、邦画の信用がついてきたと思う。高校生向け、大人向け、ファミリー向けと邦画は分けて宣伝し、5~10億円でも採算が取れる。5~10億円が増えたのは、邦画が信用を取り戻した証。一昨年のようなメガヒットがなくても、全体として着実に力をつけている気がする」とコメント。華頂尚隆事務局長の補足説明によると、5~10億円の作品は邦画が30本で200億円、洋画が12本で80億円と120億円の開きがある。また16年公開ながら17年もロングランした『君の名は。』『この世界の片隅に』は、2本で興収が50億円。くわえてODSでは邦画が60億円以上多かった。

 劇映画のビデオソフトにおける推定数値は、メーカー売上が1289億円(前年比97・6%)、小売店舗売上が1986億円(前年比96・2%)と減少。鑑賞人口はさらに下がって3億5140万人(前年比88・1%)。映連加盟4社とそのグループ会社の映画輸出実績は36%増の2億2106万6千ドル。アニメ作品を中心に好調なセールスが続いている。

 会見当日は、迫本淳一松竹社長、島谷能成東宝社長、多田憲之東映社長、井上伸一郎KADOKAWA専務も同席し、それぞれ昨年の総括、今年の抱負などを語り、岡田氏とともに質疑に応じた。

 東宝の島谷氏は、昨年11月開業したTOHOシネマズ上野の好調ぶりに触れた。それによると、新館ができると周辺の劇場が目減りし結局パイは同じということが多いが、上野の場合、もちろん近隣は目減りしているものの、ゼロだった上野から新たにあがった収益が近隣のマイナスの合計をはるかに上回り、マーケットが拡大したとの見方。「まだまだ商圏は残っていて、全体のマーケットを拡大できる可能性があるのでは」と話した。興行と配信との関係についての質問には、島谷氏は私見と断った上で、「興行と配信は共存できる。作品を提供し商売をさせてもらっているし、一緒に作ろうという話もあり、配信会社を我々の仲間だと思っている。今はとば口だが、映画館、ビデオ、テレビ、配信が共存するいい形が何年か経って必ず見つかっていると思う」と述べた。