アルバトロスF、18年配給ラインナップ編成

 

アルバトロス・フィルム(ニューセレクト)は、2018年の配給ラインナップを表の通り編成した。
 
今週末(13日)公開の『ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男』は、独自のスタイルを貫く孤高のファッション・デザイナー、ドリス・ヴァン・ノッテンに迫るドキュメンタリー。「広告を打たず、宣伝もせず、インタビューもあまり受け付けない、ディオールやサン・ローランとも異なる個性を持つ人。日本でも知られており、青山に旗艦店も持っている」という。2月公開『ナチュラルウーマン』は、米アカデミー賞外国語映画賞のチリ代表に選ばれた作品。元男性の女性が、偏見に立ち向かいながら、自然に生きていく姿を描く人生賛歌の物語。「ベルリン国際映画祭で話題になった作品。主演のダニエラ・ヴェガ自身もトランスジェンダーで、アカデミー賞の主演女優賞も期待できる」という注目作だ。

 春公開の『時間回廊の殺人』は、韓国のミステリー・スリラー。「兵役に就いた2PMのオク・テギュンが入隊前に出演した作品で、ファンの集客が見込める」という作品。初夏公開『リターン・トゥ・モントーク(原題)』は、『パリよ、永遠に』のフォルカー・シュレンドルフ監督が描く大人のラブストーリー。妻を持つ作家が、ニューヨークを訪れた際、昔愛した女性と再会してしまう。「 “モントーク岬” は、2人が昔よく訪れていた思い出の場所。彼女はそこで家を探しており、2人で一緒に物件を見に行き、あとになって本当の愛を知ることになる」という内容だ。初夏公開『ア・スペシャル・レディ(原題)』は、『コインロッカーの女』のキム・ヘスと『最後まで行く』のイ・ソンギュン出演の韓国ノワール。

 夏公開『ジ・インビジブルズ(原題)』は、ドイツが非ユダヤ化宣言を行った首都ベルリンが舞台。多くが強制収容所に送られる中、秘密裡に生き抜いたユダヤ人4人を描く物語。「実は7千人ほどユダヤ人がベルリンで暮らしていたと言われ、そのうちの数人の証言をもとに描く実話。本人も登場する」という。『ファインディング・ユア・フィート(原題)』は、『ニューヨーク、眺めのいい部屋売ります』のリチャード・ロンクレイン監督によるラブコメディ。夫の浮気が発覚し離婚した女性が、人生を見つめ直して明るく生きていくストーリー。「歌あり、踊りあり、笑いあり。トレンディドラマ的なシーンも満載で、世の女性にエールを贈る作品」だという。

 『ジ・エンジェル(原題)』は、吉原氏が「2018年は特にこれを頑張りたい」と意気込む期待作。透明人間と盲目の女性による愛を描く。施設で育った透明人間の男性と、隣の屋敷に住む盲目の女性が惹かれあう。盲目の女性は彼を透明人間だと知らなかったが、手術により目が見えるようになり、2人の関係はどうなっていくのか――。昨年大ヒットの『美女と野獣』や、半魚人とろうあの女性の愛を描く『シェイプ・オブ・ウォーター』(3月1日公開)に続く、異色のハートウォーミングなラブストーリーだ。

 さらに、『セルジオ&セルゲイ(原題)』も2018年に公開する。ソ連が解体しロシアに移行した時、宇宙ステーションにいたセルゲイは、経済的に地球に帰還させられなくなったと告知される。その最中、キューバの大学教授・セルジオが使うアマチュア無線とつながり、会話を重ねることで男の友情が芽生える。「実話にインスパイアされた物語で、セルゲイは “最後のソ連国民” と言われている。カップヌードルのCMにも登場した人物」という。

 吉原氏によると、同社は昨年、『メットガラ ドレスをまとった美術館』が興収6千万円、『残像』と『ヒトラーへの285枚の葉書』がそれぞれ4千万円と、まずまずの成績を収めた。今年は「フックにこだわった作品の編成を意識した。トータルでは期待のできるラインナップになった」という。