夢には楽しい夢もあれば、何かにとりつかれたような夢を見ることもあります。自分の心に妄念が起きるときは悪い夢を見るのだそうです。夢はつじつまが合わないことがあります。河合隼雄(1928~2007)は「夢は荒唐無稽なものではなく、その夢を見た人の願望の充足である」あると、フロイトの説を紹介しています。(『明恵夢に生きる』「夢とは何か」京都松柏舎1987)
仏典に『阿難七夢経』があります。その夢は、池の火災、日月星が辰(あした=朝)に没する、出家者が穴におちる、イノシシが栴檀の林に突入する、須弥山を頭に載せて重くない、大きな象が小さな象を捨てる、死んだ獅子から虫が出てこれを食う、の七つの夢です。これはブッダ入滅後の教団の混乱を予兆する夢ともいわれています。
漱石の短編小説『夢十夜』は夢を題材にした一風変わったスタイルです。そのうち四話は実際に漱石が見た夢だそうですが、その出典は複数あり、それがどれなのか断定できません。