「……好き?」
「ん?、好き。」
彼からの問いの、目的語は聞き取れなかった。
好いトコを擦り付けるのに夢中になっていたから。
それでも、「……」に入るのが
悪いコトをして過ごす此の時間なのか、
大きくて直ぐに回復する彼の其処なのか、
彼自身のことなのか。
どれであっても、私の答えは変わらないだろう。
「ねえ…好き?」
「好きだよ」
私は敢えて目的語を入れずに問うてみた。
そして、腰の動きを激しくした。
彼が「何」を好きだと言ってくれたのかは
自分の脳内で補うしかない。
今年の春には、本当に別れるつもりだった。
でも、できなくって身体の関係は続いている。
「好き」の種類が変化したに違いないけれども、
それでも、私には未だ彼が必要なのだ。
今年の秋には、大きな罰が下った。
―家庭を壊すつもりはない―
始まりのときの約束通りに、
彼は私に何の選択肢も与えてくれなかった。
分かっていたけれども現実に突きつけられると、苦しかった。
でも、今は諦めていた可能性を示してくれたことに感謝している。
彼と出会って3度目の冬を迎えて、年を越したら
これから先はどうなるか全く分からない。
どんな結末になっても受け入れる覚悟はできている。