彼が大事な試験中だったせいもあってか。
緊急事態宣言下のせいもあってか。
リアルでの逢瀬はずっとおあずけしていて。
毎日LINEえっちをしながら、
今月はきっと逢わないだろうなぁー、、
なんて思って迎えた睦月最後の金曜日。
”充電したいよー”ってLINEが入った。
ちょうど納期の仕事を終えて早く上がれそうだったから
”いいよー”って返して。
すぐに待ち合わせ場所を決めて向かうことにした。
彼は大事な試験を終えて、
人生のRe;startに最高な居場所を手に入れて
春には旅立っていく。
《同業者》という拘わりの中で彼と一緒に過ごしてきた。
たった一つの接点が消失してしまうのが、私は、とても寂しいのだ。
もう、滅茶苦茶に、しんどい。けど。
春までに彼を手放すことにして、残りの逢える時間は楽しむことにした。
先に駅に着いていた彼は、改札を抜けた私をすぐに見つけて。
いつもは外では我慢しているけれども。
手を繋いだみたら、きゅっと握り返してくれた。
すき。
以前は躊躇いもなく言ってたのに、何故か、声に出せなくって。
心にしまった。
ホテルの薄暗い灯りを頼りに向かい合って、
逢えなかった、この1月の出来事を互いにぽつぽつ話す。
時折、唇を合わせて吐息を重ねる。
いつもの欲求不満をぶつけてくるような激しいキスじゃない、
優しくてふわふわしたキス。
きっと、彼も、何か心境の変化でもあったんだろう。
私たちは、話さないし、聞かない。
それがちょうど良い、曖昧で、居心地がいい距離感をつくっている。
いつもなら、ホテルについたら、すぐに唾液が絡みあうキスをして
もう、お互いの弱いとこを責めて、責めれて、繋がって、果てたら、
またすぐ昂らせて、また繋がって、責めて、責められて・・・・
お互いの立場とか、家のこととか、脳ミソに麻酔を打って忘れて
本能のまま抱き合って、時間がきたらシンデレラより潔く、ハイ!御終いなんだけど。
今日は、何かが、違う。
彼の優しい腕に抱き締められて。
重ねた肌と肌の境界から穏やかに溶けて、一つになっていくような。
そんな、ぬくもりに包まれていた。
すき。。もっと、ずっと一緒にいたいよ。