長月の頃、3度目の枕を交わしたとき。
彼は「だいすき。」と不意に呟いた。
普通だったら惚れた相手を
惚れさせたと確信した瞬間的は
≪はじまり≫なんだと思う。
私は、その時、うまく表せないけれども
もう発展しない関係になのか、
やがてくるそのときを感じたのか、
≪おわり≫の音がした、と思った。
クノタチホ先生のブログから多少を学んで
彼とのかかわりには名前をつけないことにしている。
同業者として、友人として、
束の間の彼女として、誰かの妻として、
その時々の関係に委ねて
月に２度くらいの逢引を重ねてきた。
師走が過ぎれば出逢って丸１年が経つ。
彼はいま大きな節目を迎えていて。
恋人達がきらきら過ごす
バースデイも、クリスマスも、一緒に過ごせなかった。
今週も普通に仕事納めをしたから
年内はもう逢えないと思っていた。
寂しかったけど仕方ないって。
割りきってたのだけど。
期待していたとおりなのか、
期待していなかったのになのか。
なんだか、今日、逢うことができた。
コンディションあんまり良くないのに。
一緒に過ごしてくれて嬉しかった。
きっと私服の彼と昼間に逢引なんて
もうできないだろうな、とか。
私が掛けさせた黒縁の眼鏡をずっと外さないでいてくれて、
「逢うときはいつも眼鏡かけてあげる」
なんてしてくれたその約束は、
たぶん果たされないだろうな、とか。
素面では抱けないくせに、繋がれば私の中で何度も果てるのはどうゆうつもりなのかな、とか。
前を歩く親子連れをぼんやり眺めて、きっと家族のこと考えてるんだろうな、とか。
非日常的な逢瀬の中で、いつもより少し長く一緒に過ごしたせいか、いろんなことを思った。
新しい発見も１つした。
スマホにダウンロードされた夥しい数のアプリたち。
私の入れてるアプリの5、6倍はあったかな。
インプットする知識の量がすごくって。
こんなにたくさんのことに興味をもってるから、おもしろいヒトなんだなって。
だから、好きになっちゃうんだって。
そして、それが、夫さんの好きなところと重なるって気づいて、複雑な気持ちが芽生えた。
俺の長所ってなんだと思う？
彼からの珍しい質問の答えを真面目に探した。
自分に必要なコトを見つけて実行できて、結果残せるところじゃない？
いまはその成果が報われていないけれど、
彼は、きっと、もっと高いところに羽ばたいてゆくだろう。
そのときが≪おわり≫なのかな。
彼の大勝負が終わったら、いっぺん、向き合って、ちゃんと話さないと。
良いお年を、と、だいすき、とをLINEで送る。
良いお年を、と、大好き、とが返ってくる。
いまはこれでいい。
今年が≪おわり≫、来年が≪はじまる≫。
私にとって彼と過ごす時間が、
彼にとって私と過ごす時間が、
前に進むためのポジティブなものでありますように。