「残業中ー。まだ帰れないー。」
彼からきた仕事上がりを知らせるLINEに、不機嫌な文面を返した。
そこそこの時間になっていたし、今日は逢えないかも・・・。暗い気持ちになる。
そもそも、今日はなんだか日が悪いんだ。
朝から夫さんと喧嘩して口もきかず。
出勤したら上司から悪い呼び出しを受け。
戻ったら大量の書類がデスクに詰まれてた。
「俺、今日は帰ろうかな。迷う。」
「はーい。今日は私、機嫌悪いし。そのほうがいいよ。」
たまには家に早く帰したほうがいいと思ってゆったのに。
「どうした?話聞こか。」
こうゆうとき、受け止めようとしてくれるのは彼の良さ。優しい性格なんだよね。
「つまらない愚痴ばっかりになるから。」
彼が私と過ごす時間は、楽しい時間であってほしい。なのに。
「ええよー。」
当たり前のように返してくれる。それが、嬉しい。
急いで仕事を片付けて、彼の待つ駅に向かった。
食べて、話して、飲んで、話して。たくさん笑って。
時間が経つのは本当にあっという間。
今日は待ち合わせたのも遅かったから、余計そう感じるのかな。
まだ一緒に居たいのに、ぶらぶらする時間も残ってない。
横断歩道を渡りながら、手を繋ぐ。
「まだ一緒に居たい」
言えないから、もじもじ、せわしなく手を組みかえる。
時折、彼の指にぎゅっって絡めとられる。
同じ気持ちでいてくれるのかな?
駅について、帰りの電車に二人で乗り込む。
遠回りだけど、途中まで一緒に居られる路線で。
乗り換えの電車がきて、指が離れて、彼が独りで乗り込む。
ホームでちゃんと見送って、「さよなら」しようと思ったのに。
なぜか、バイバイじゃなくて、こっち来て?って、おいでおいでしちゃってた。
なにやってんねんーーーーー!!!(笑)
彼は一瞬キョトンってして、電車を降りてくれた。
一度離れた指をまた絡めて、ホームの隅っこの柱の影に納まる。
優しいキスを繰り返す。上唇のほくろを指先でなぞった。
まだ一緒に居たい。でも、、、
「そろそろ帰らなきゃでしょ」
「そろそろ帰らなきゃでしょ」
お互いに同じ科白を言い合って、そっと手を離した。
次は、いつ、逢えるかな。。。